インドネシアには一体、どんなタイプの作家がいるのか、興味ありませんか?
「インドネシアの著名作家」というと、すぐに名前が出てくるのは、『人間の大地』(原題:Bumi Manusia)を書いたプラムディヤ・アナンタ・トゥール、『美は傷』(原題:Cantik itu Luka)を書いたエカ・クルニアワン、『サマン』(原題:Saman)を書いたアユ・ウタミ、『珈琲の哲学』(原題:Filosofi Kopi)を書いたディー・レスタリあたりでしょうか。
もちろん、他にも数多くの著名作家がいますが、この4名の代表作は日本語にも訳されており、上述の作品のうち、『人間の大地』(2019年)と『珈琲の哲学』(2015年)は映画化もされています。
エカ・クルニアワン著の『美は傷』は、この「よりどりインドネシア」の執筆者の一人でいらっしゃる太田りべかさんが訳されました。最初の訳本は絶版になってしまっているそうですが、著者のエージェントが日本での復刊先を探しているとのことですので、今後、再刊されることを期待しましょう。
かくいう私は、お恥ずかしながら、インドネシア文学に関してはほぼ無知に近く、自身の教養のために、11月9日のThe Jakarta Post(インドネシア国内最大の英字紙)に載っていた、インドネシアを代表する現役作家の一人、エカ・クルニアワンに関する記事を和訳してみることにしました。
ただ、記事を訳したものを皆さんと共有するだけでは脳がないので、その前に「インドネシアの新聞」について、大まかに調べてみました。
主に、Wikipediaからの写しになりますが、お許しください。
●インドネシアの新聞
【一般紙】(古い順)
名称 |
判型 |
発刊年度 |
所有者 |
発行数 |
その他 |
Jawa Pos |
ブロードシート |
1949 |
Jawa Pos Group |
450,000 |
|
Kompas |
ブロードシート |
1965 |
Kompas Gramedia Group |
600,000 |
|
Media Indonesia |
ブロードシート |
1970 |
Media Group |
250,000 |
親政府系 |
Suara Pembaruan |
ブロードシート |
1987 |
BeritaSatu Media Holdings |
350,000 |
|
Republika |
ブロードシート |
1993 |
Mahaka Media |
325,000 |
イスラム系 |
Rakyat Merdeka |
ブロードシート |
1997 |
Jawa Pos Group |
|
日々の政治の話題 |
Koran Tempo |
タブロイド |
2001 |
Tempo Inti Media |
240,000 |
|
Koran Sindo |
ブロードシート |
2005 |
MNC Media |
|
|
Koran Jakarta |
ブロードシート |
2008 |
PT. Berita Nusantara |
|
|
【ビジネス紙】(古い順)
名称 |
判型 |
発刊年度 |
所有者 |
Bisnis Indonesia |
ブロードシート |
1985 |
Bisnis Indonesia Group |
Investor Daily |
ブロードシート |
2001 |
BeritaSatu Media Holdings |
Kontan |
ブロードシート |
2007 |
Kompas Gramedia Group |
【スポーツ紙】(古い順)
名称 |
判型 |
発刊年度 |
所有者 |
TopSkor |
ブロードシート |
2005 |
PT. Sportjaya Sukses Lestari |
Super Ball |
ブロードシート |
2017 |
Kompas Gramedia Group |
以上の他に、30の州(インドネシアは全部で34州有り)で、地方紙が各地1~6紙発行されています。多いのは、北スマトラ州が6紙、西ジャワ州、ジョグジャカルタ特別州、東ジャワ州、そして東カリマンタン州がそれぞれ5紙です。
【外国語新聞】
中国語:1. Harian Indonesia(印度尼西亞 日报 / 印尼星洲日报)
2. Indonesia Shang Bao(印度尼西亞 商报 / 印尼商报)
3. Yinni Guoji Ribao(International Daily News)(国际日报)
英語: 1. International Bali Post
2. The Bali Times
3. The Jakarta Post
日本語:The Daily Jakarta Shimbun(じゃかるた新聞)
英字紙は全部で三紙あります。2008年にJakarta Globeという英字紙が発刊されましたが、人気が出ず、2015年に廃刊になった経緯があります。The Bali Timesは、バリ島にいる外国人滞在者や旅行者に需要があるようです。日本語紙は「じゃかるた新聞」一紙のみです。
冒頭に書いた、インドネシア国内最大の英字紙、The Jakarta Postは1983年にインドネシアの著名な思想家、軍人、そして政治家であるアリ・ムルトポ氏と、インドネシアのシンクタンクの設立者でもあるユスフ・ワナンディ氏によって創設されてから、今日現在まで発行されています。
我が家は、私がジャカルタに来た1992年から今日までずっとKompasとThe Jakarta Postを購読しています。かなりロイヤルな読者といえると思います。一昔前、Kompasはインドネシア語なので、真実が歪曲されて伝えられることがあるが、The Jakarta Postは英語なので検閲されにくいため、大胆に真実が書かれている、と聞いたことがあります。実際に読んでいて、Kompasと比べると、そう感じる時期が以前はありました。ちなみに、The Jakarta Postの企業理念は ”Always Bold. Always Independent”(常に大胆に、常に自由に)です。
2020年8月に入り、The Jakarta Post(以下、ジャカルタ・ポスト)を発行する会社、PT. Bina Media Tenggaraに関するショッキングなニュースが持ち上がりました。「8月25日に開かれたジャカルタ・ポストの創設者であるユスフ・ワナンディ氏と経営幹部との会議によると、新型コロナウィルスの感染拡大に伴って経営が立ち行かなくなっているとこから、10月1日までにリストラを断行し、人件費を現行の3割まで削減する方針を打ち出した。ユスフ氏は『ジャカルタ・ポストの新聞事業に係る経費のうち、約75%を人件費が占めている』と述べ、人件費が経営を圧迫していると説明。このため『会社が生き残るためには、人員削減に踏み切るしかない』と強調した。すでに8月25日から人員削減に取り掛かっており、10月1日までにリストラを断行し、10月1日までに全社員を現在の3分の1ないし50~60人にまで減らす。紙面の発行は続ける」(出所:NNA Asia)。
インドネシアのコロナ感染拡大以前、The Jakarta Postは月曜から日曜日まで、祭日を除いて毎日届けられていました。コロナ感染拡大とともに、紙面数が段々と少なくなり、通常12~16紙面が8紙面になることが多くなりました。今現在、紙面数は元通りになっていますが、エンターテイメントに関する紙面が多かった日曜日はコロナ以降、完全に休刊日となりました。
ただ、これらは全てコロナのせいではなく、世界のトレンドとして、ソーシャルメディアの普及で新聞が売れなくなり、コロナ感染拡大以前からBina Media Tenggara社は経営難に直面していたようです。発刊当時のThe Jakarta Postは175ルピアで売られていました。度重なる値上がりを経て、35年経った2018年には、発刊時の約43倍の7,500ルピアになり、今日現在まで値上げされていません。
インドネシアでは古い新聞紙の使い途が、結構多いので、今後、新聞が無くなると主婦としては困る気もします。たとえば、棚の上の埃対策に新聞紙を棚の上に敷いたり、食器棚に敷いたり、窓拭きするのに雑巾代わりに使ったり、果ては野菜を包んで保存したりと、読んだ後の新聞紙も重宝しています。
●エカ・クルニアワンの記事
では、本題に戻り、エカ・クルニアワンについて書かれた記事(英文)をご紹介します。日本では「読書の秋」といいますが、四季のないインドネシアでも、雨季に入る前の毎年9~10月頃には、いくつかの主要都市で“Writers’ Festival”と表した文学フェスが開催されます。コロナ禍の今年は、それらのイベントの多くはオンラインで開催されました。
以下の記事は、文学などのクリエイティブ産業を振興する目的で開催されたフェスティバル、“Kembali 2020”のなかで、エカ氏へインタビューした内容が含まれています。一部、意訳しておりますので、ご了承ください。
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