インドネシアでは家庭で様々な家禽が飼われています。鶏、アヒル、ガチョウ、七面鳥・・・。ときには、こんな鳥を見たこともあるのではないでしょうか?
一見したらアヒルですね。実際にアヒルの一種ではあるのですが、白黒まだらな羽、顔に赤いケロイドのような皮膚があるのが特徴です。体格もインドネシアで一般的なアヒルに比べたら多少ふくよか。普通のアヒル(Bebek)とは区別し、インドネシア語ではItik serati、ジャワ語ではmenthok、enthok、enthogなどと呼ばれています。日本語では、バリケン、台湾アヒル、麝香アヒルといった呼び方をするそうです。
⇒ ウィキペディアからノバリケン https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ノバリケン
おそらく、インドネシア各地でそれぞれの呼び名があると思いますが、ここではmenthokかenthokが一般的。ジャワの童謡には、このmenthokをテーマにした歌もありますよ。
⇒ Youtubeから童謡のmenthok-menthok https://youtu.be/03VKZhYWdso
放し飼いのバリケンがよたよたとあちこち歩き回るのは、お馴染みの光景です。
そんなmenthokことバリケンですが、ウォノソボでは、じわじわとバリケンを専門に扱うレストランが増えてきています。
ちょっと変わったスタイルで提供されるバリケン専門店の様子、元祖とされる名店など、バリケン料理の系譜を少しまとめてみたいと思います。
●甘辛く煮込んで・・・
インドネシア各地ではバリケンをどう料理しているのでしょうか。ウォノソボのバリケン料理屋ではオポール(opor)というココナッツミルク煮込みにするのがお決まりです。
オポールは香辛料と椰子砂糖、ココナッツミルクで肉を煮込む料理。鶏肉を使ったオポール・アヤム(opor ayam)はレバランの日のご馳走として知られていますね。ここではレバランの日のオポールにも、バリケンを使うことがあります。
バリケンの肉は、鶏肉や普通のアヒルに比べて筋張っていて固く、また独特のクセもあります。なので長時間じっくりと煮込む方法が合っているようですね。
骨つきのものをゴロンとお皿に載せていただきますが、スプーンやフォークではなかなか切れません。やはり手で少しずつちぎり取り、付け合わせのキャッサバの葉などと一緒に食べるのが一番です。汁を多めにもらって、ご飯にかけるのもいいでしょう。
ちなみに、家庭でもやはりオポールにする場合がほとんどのようです。バリケンの肉は売っている場所があまりないので、飼育している人から直接買って自分で捌くのですが、それがちょっと大変。鶏はお湯に浸けながら羽を毟れば、比較的簡単にキレイにすることができます。しかしバリケンの場合は、柔らかく細かい羽毛をなかなか取り除けません。何度もお湯をかけ下処理をし、やっと調理にとりかかります。若い肉であればそれほど時間をかけなくても済みますが、ある程度大きくなったものはやはりじっくりコトコト・・・。しかし鶏などとはまた違ったフレッシュな旨味があると、老若男女問わず好まれています。
さて、バリケン専門店ですが、普通のレストランのようにメニューがあって、注文をして・・・というスタイルではありません。パダン料理屋のように、座った途端に何種類ものお皿が出てくるのでもありません。
店に入ると、「はいはい、好きなだけ取ってね」と食器のある方を示されます。客は、おひつから自分でご飯を皿によそって、並んだ料理や付け合わせから好きなものを好きなだけ皿に盛るのです。
メニューはお店によってバリエーションの違いはあれど、どこも配膳はセルフサービス。そしてなんと、おかわり自由!
決して、ウォノソボにおいてこれが一般的なスタイルというわけではありません。なぜこのようになったのでしょうか?
(次に続く)
- コンセプトは『おばあちゃんの家』
- 進化していくバリケン料理
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