よりどりインドネシア

2022年07月23日号 vol.122

ロンボクだより(72):陰口との付き合い方(岡本みどり)

2022年07月23日 15:05 by Matsui-Glocal
2022年07月23日 15:05 by Matsui-Glocal

こんにちは。ロンボク島はよく晴れる日が続き、少しずつトマトの値段も戻ってきました。でも晴れたら晴れたで、乾燥と砂埃で喉がやられてしまいます。

今回のロンボクだよりは、そんな喉元から出ていく陰口に関する話です。どうぞお楽しみください。

イスラミックセンター

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「あ~あ、聞かなきゃよかった」

1ヵ月ほど前のこと。市場帰りの細い路地で、Jさんと叔母に出くわしました。2人の横をサッと通り過ぎるのも素っ気ないので、私はさりげなく2人の会話に入り、うんうんと話を聞いていました。

2人は同じ村のあるお婆さんについて話していました。

そのお婆さんは、70歳を超えているふうに見えます。数年前までは元気な行商人で、金貸しもしていました。それゆえ、周囲の人とたびたびお金の問題を起こし、疎まれていました。

今、お婆さんは行商を辞め、一日の大半をJさんの家の軒先で過ごしています。

私はJさんを密かに尊敬していました。お婆さんと歳が近いとはいえ、ほぼ毎日、何時間もあのお婆さんの話相手をしているのです。なんの報酬もありません。「なかなかできることじゃないよね」

ところが、そのJさんが「なんなのよ、あの人!」とお婆さんに対する日頃の不満と鬱憤を叔母にぶつけていました。え~、Jさん、ずっと不満だったの~?

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インドネシアに来る前は、「本音と建前」は日本だけの文化だと思っていました。実際にロンボク島に住み始めてからも、人々は建前を並べるまでもなく、寛容でめったに怒らないという印象を受けていました。

けれども、ここロンボク島にも建前はたくさんあって、むしろ日本よりも多いのではないか、と徐々に気づくようになりました。人々は「怒るのはよくないこと、未熟さの証」と考えているために、表向きはいいように取り繕い、裏でいろいろと囁き合っていました。陰口もその一つです。

イスラームの教えにも陰口・悪口はダメってあるのに・・・。無意識に、かつ時間をかけて、私はそんなロンボク島の人々に少しずつ幻滅していました。今回の2人の話で限界に達したのか、私はドッと疲れました。

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先日、移民局の職員たちが3人、我が家へ来ました。私のインドネシア国籍取得に関する家庭調査のためです。職員の1人が、私にこう尋ねました。

「近所の人たちとはうまくやっていけてますか?」

「はい。冠婚葬祭のお手伝いも参加しています」

「そっかぁ、なら、ゴシップにも参加してるんだね」

ワハハハハ!

職員たちの笑い声を聞いて、私は目が覚めました。

(⇒ ロンボクの人たちにとって・・・)

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