よりどりインドネシア

2022年05月23日号 vol.118

ロンボクだより(68):セラッと呼ばれる人々(岡本みどり)

2022年05月23日 03:23 by Matsui-Glocal

みなさん、こんにちは。例年ならばすっかり乾季なのにまだ雨の日もあるロンボク島です。今回はロンボク島の現地語・ササッ語で「セラッ」(SELAK)と呼ばれる人々について書きました。では、どうぞ今回のロンボクだよりもお楽しみください。

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もうすぐ9歳になる娘がまだ赤ちゃんだった頃、義母がしきりに忠告してきたことがありました。

「セラッとは目を合わせないようにね。それから、絶対に娘を抱っこさせてはいけないよ」

セラッとは黒魔術を使う人(正確には人間の形をした霊)で、赤ちゃんが大好物なのだそう。

セラッは、昼間は人間の形で、夜になると霊になって飛び回るとも信じられています。バリ島のレアッ(LEAK) のロンボク版かもしれません。

迷信でしょ、と話半分に聞いていたら、驚いたことに「セラッ」の情報は村中で共有されていました。「あの人はセラッだから気をつけて」というふうに。

それでも、村人たちの情報だけをもとにして誰かを敬遠するなんて、私はいい気がしませんでした。

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もう一つ、気になったことがありました。

私はいままでセラッだと噂されている人に3人会っています。その3人がみんな、似ているのです。

共通点は、年配の女性で痩せ型、ヒジャブは被っていない、ブツブツと小声で話す、目が白濁している・腰が曲がっているなど身体的な特徴を有していることでした(※男性のセラッもいるそうです)。

なんか・・・魔女狩りみたい・・・?

私には村の人たちが「あの人それっぽい」と根拠のない噂を流して、特定の人を差別しているように思えました。

「あの人、セラッだよ(だから気をつけろ)」と義母から聞くたびに戸惑いと反発を覚えましたが、村の新参者だった私は「それは間違ってると思う!」ということもできませんでした。

そして娘が大きくなり、周りから注意を促される機会も少なくなるにつれ、「セラッ」のことは忘れていきました。

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ところが、先日、身内のお葬式に参列したときに「セラッ」を久しぶりに思い出しました。

(⇒なぜって、私が・・・)

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