(本記事の無料公開は10月12日で終了いたしました)
日本でも連日大きく報道されているスラウェシ中部地震ですが、国家災害対策庁(BNPB)の発表によると、2018年10月12日午後8時(日本時間)現在、死者2,088名、行方不明者680名、重傷者4,612名、損壊家屋6万7,310軒、避難者数7万8,994人となっています(この情報は随時、最新データに更新します)。
本震が起きたのは9月28日午後7時2分(日本時間)、マグニチュード7.4でした。日本と現地との間には1時間の時差があり、現地時間では午後6時2分、ちょうど、イスラムの夕暮れ(マグリブ)の祈りが終わった後、夕暮れから夜に移っている時間でした。
実は9月28日には、あの本震の前に、この地域では、マグニチュード5クラスの地震がいずれも日本時間で午後3時(M5.9)、3時28分(M5.0)、5時25分(M5.3)、と連続して起こっていました。そして、約1週間前の9月22日にも、午後9時8分にマグニチュード4.8の地震が起こっていました。
現在、筆者は、スラウェシ中部地震被災地支援のための募金を呼びかけていますが、その内容については、別稿をお読みいただくとして、本稿では、被災したパル市、ドンガラ県、シギ県がどのような地域なのか、について紹介したいと思います。これをお読みいただくことで、被災地に関するイメージがより鮮明になることを期待しております。
●行政区域の変遷
パル市は中スラウェシ州の州都です。次の地図で見ると、パル市(小さな紫色の部分)を取り囲むようにしてドンガラ県(左側の水色の部分)があり、ドンガラ県の南側の山間部を含む地域がシギ県(茶色の部分)です。
(出所)http://adepedia3.blogspot.com/2018/01/peta-administrasi-sulawesi-tengah-2018.html
ドンガラ県は以前、とても面積の広い県でした。上の地図でいうと、現在のパル市、シギ県を含んでいたほか、パリギ・モウトン県(赤紫色の部分)もドンガラ県でした。1994年にパル市が、2002年にパリギ・モウトン県が、2008年にシギ県が、ドンガラ県から分立しました。
(以下の内容へ続く)
- カイリ族について
- パル市の概要
- ドンガラ県の概要
- シギ県の概要
- パルの意味とカイリ語での地震、津波、液状化
- パル=コロ断層と昔の海岸線と液状化
- この地域の過去の主な地震・津波
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