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2018年03月23日号 vol.18【無料全文公開】

ゴロンタロ=マナド10時間の旅(松井和久)

2020年04月18日 13:59 by Matsui-Glocal
2020年04月18日 13:59 by Matsui-Glocal

2009年11月22日、スラウェシ島のゴロンタロから北スラウェシ州の州都マナドまで10時間の陸路で移動しました。

所用時間は7~8時間程度と思っていたのですが、結局10時間かかりました。飛行機だと、ゴロンタロからマナドまでわずか30分なのですが、乗客が少なくて、しばしばキャンセルになるようです。安く確実にゴロンタロからマナドへ行くには、陸路が好ましい、ということでした。

ゴロンタロからマナドまでは、普通の長距離バスや『ガルーダ』という会社の相乗りキジャンが一般的ですが、今回使ったのは、『マワル・シャロン』(Mawar Sharron)が昨年から始めたワゴンバスです(下写真)。

10席分のリクライニング・シート、エアコン付きで「エグゼクティブ・トラベル」と銘打っています。料金は125,000ルピア(当時)で、出発前に水とお菓子がもらえます。席どうしはセパレートではなく、つながっていますが、車内に客を詰め込まないので、それなりにゆったりとはしていました。

このワゴンバスを予約するには、予約電話番号に電話をするかSMSを送ればよいのです。すると、ワゴンバスが指定の場所まで迎えに来てくれ、最終目的地まで送ってくれるという、Door to Doorサービスなのです。

ただし、出発する前に、乗客を迎えるために、ゴロンタロ市内をグルグル周るので、なかなかすぐには出発しません。1991年に乗ったポソからパルまでのバスは、乗ってからポソ市内を出るまで1時間以上かかりました。

そして、マナドに着いてからも、目的地まで一人一人、すべての客を送るので、マナド市内をまたグルグル周ることになります。

この『マワル・シャロン』は、当時、ゴロンタロでは有名な地鶏のフライドチキン屋さん(私のお勧めはAyam GorengよりもAyam Bakarなのだが)で、マナドにも支店があったのですが、今もあるかどうかは分かりません。

ワゴンバスがゴロンタロのホテルに迎えに来たのが午前8時、その後、他の乗客を迎えにグルグル周り、全員乗せてゴロンタロを出たのは、やはり午前9時半でした。

ゴロンタロからの道は山越えのカーブの連続で、絶壁のような高さから眼下に海が次々に見えてくるのは、なかなかの絶景です。

でも、極端な話、南ミナハサ県あたりまでは真っすぐな道がほとんどなく、常にカーブの連続です。おそらく、車酔いの人にはちょっときついかもしれません。

午後2時ごろ、ちょうど中間地点らしい海岸近くで昼食タイム。焼き魚、空芯菜、ご飯という定番です。掘立小屋のようなこの飯屋に着いても、椅子が足りなくて、15分ぐらい立って待たされました。昼食の代金は各人が払い、ワゴンバスとは別料金でした。

昼食後、再び走り出します。しばらく行くと、木が数本しかポツンポツンと生えていない、草に覆われたはげ山が続きます。

そのはげ山の草を刈って、畑を作ろうとしている光景が、何度も目に入ってきました。ここでもやはり、トウモロコシ畑になるのでしょうか。

スラウェシでは、こうした光景を目にすることが少なくないのですが、急に始まったことではなく、これまでに幾度となく繰り返されてきた結果が、こうしたはげ山を作り出しているのかもしれません。

人口の急増、人口圧に対して自然が養う力の低下、水源の消滅、保水力低下、土壌流失、やめられない粗放農法。井戸が塩化し、あるいは枯渇し、生活用水を外から買わざるを得なくなっているスラウェシの農村は少なくありません。

ここがダメになったら、別の処女地へ移っていく、ということをいつまで繰り返せるのでしょうか。そして、そうした構造は、陸上だけでなく、急速な漁獲高の減少に直面している漁民たちの海でも同様だろうと思います。

そして、ワゴンバスは夜7時半にマナドの宿泊先のホテルに到着しました。マナドではかなりの雨が降っていたことも手伝って、久々の長距離移動をぐったりと疲れたものにしてくれました。

(松井和久)

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