よりどりインドネシア

2022年07月09日号 vol.121

ロンボクだより(71):4,000人規模の避難地での生活(岡本みどり)

2022年07月09日 22:56 by Matsui-Glocal
2022年07月09日 22:56 by Matsui-Glocal

(編集者注)本稿は、2022年6月8日発行の『よりどりインドネシア』第119号に所収の「ロンボクだより(69)」の続きです。2018年に起きたロンボク地震の記憶をつづります。なお本稿は2022年8月発行の『よりどりインドネシア』第123号に続く予定です。

前回の記事で予告したとおり、今回は大規模な避難地での生活の様子について伝えます。

本震被災後2~3日で、人々はそれぞれの避難地におさまりました。私たちはたまたま集落の裏に小高い丘があったおかげで、自宅から徒歩圏内のところで生活することができました。が、余震が続き津波の可能性もゼロではなかったため、海沿いの村の人々を中心に、自宅から離れたところに留まらざるをえない人々も多くいました。

私たちの周りに、こうした人たちが目指した高地が2ヵ所ありました。海からほど近いところに住む義兄家族も、集落の人々と一緒にそのうちの1つの高地へと逃げました。

そこは警察署の裏の小高い土地にある原っぱで、このあたりの最大規模の避難地となりました。後に聞いたところによると、多いときで4,000人以上が集まっていたそうです。

**********

私は、はじめて義兄家族のいる避難地へ訪れたときのことをよく覚えています。私たちと一緒に避難していた義母が「孫(義兄の子どもたち)が心配だ」と何度も口にするので、私たちが義兄のところへ行って、義母に様子を伝えることになったのでした。

夫・娘・私の三人でバイクに乗り、なんとか走れる道を選びながら迂回を重ねて警察署へ到着。「こっちだよ」と夫について警察署の裏へまわると、おびただしい数のブルーシートが目に入りました。屋根代わりにブルーシートを張ったテントがズラリと並び、青々とした海のようです。

「すごっ。なんやこれ、難民キャンプやん!」

夫と私は義母のために義兄の子どもたちの写真や動画を撮影させてもらいました。子どもたち同士をしばらく遊ばせながら、義兄のお嫁さんと情報交換。

義兄家族は、義兄のお嫁さんの親族たちと一緒に学校の教室程度のサイズのテントに暮らしていました。小さな子どもたちも入れて、全部で7世帯50人です。

「食べ物はある?」

「うん、食べ物は大丈夫」

「みな元気?」

「まぁまぁね。熱を出したりお腹を下したりする子どもはいるけど、大方元気よ。みどりたちは?」

「こっちも元気。皆無事でよかったよ」

大きなテントの横にコンポールガス(次の写真のようなもの。灯油使用)とガスコンロが1つずつありました。ここで50人分の料理を作ってるのね。

こんなにたくさんの人がいて、食べ物はどうやって配られてるのかな?

聞くと、A区・B区・・・のように区画が分かれていて、そのなかでリーダーを決めて食事の配給を受けているんだとか。へぇ、けっこうちゃんとしてるんですね。

人の多い避難地だから食料配給に困ることはないとのこと。政府からの食料がまずこの避難地に到着し、この避難地をハブとして他の小さな避難地に配給されていたからです。お米、油、インスタントラーメンのほか野菜も手に入るそう。食べ物は私たちの避難地より入手しやすいみたいだなぁ。

でも・・・お手洗いとお風呂はどうしているんだろう??

仮設トイレがいくつか見えましたが、数えるほどしかありません。4,000人の被災者が使うにはあまりにも少ないです。

「どうしてるのかな」と思いつつ、そのときはあまりいろいろ聞くのも・・・と聞けませんでした。

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今回、この記事を書くにあたって、義兄家族やその集落の人々に当時のことを振り返ってもらいました。図らずも女性ばかり、5人での会話です。

「トイレってどうしてたの?」

(⇒ええ~と彼女らは互いに顔を見合わせて・・・)

 

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