みなさん、こんにちは。ロンボク島は日中のカラカラした空気とともに朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。今が一年で一番気温が下がる時期です。リンジャニ山の山頂では雪も降っていると観光客から聞きました。今回は、そんななかでも元気で明るい村の人たちとのお話です。
『よりどりインドネシア』をご覧になっている方なら、インドネシアで「年齢は?」「恋人は?」「結婚は?」「子どもは?」「両親は?」「給料は?」と個人情報のコの字もない根掘り葉掘り攻撃にあった人も多いでしょう。
根掘り葉掘りのあとは、聞いてもないのに様々なアドバイスをよこしたり、自分の話をドヤ顔で知らせてきたり。大きなお世話だよ、と煩わしく思いながらひきつる笑顔で乗り切ってきませんでしたか。
ところが、ここ最近出会った3人の人々たちには「大きなお世話」がなかったのです。
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一人目の女性とは、八百屋で出会いました。クマンギ(ハーブの一種)を手に支払いを待っていたら、隣にいた見知らぬ女性が突然話しかけてきました。
「あなた、どうしてそんなの持ってるの?」
質問の意図をつかめずにいると、彼女は私が手にしていたクマンギの葉っぱを摘みました。色が黒っぽくて、葉先がくるまっている、と言います。
「もっと緑色で新鮮なのがあるんじゃない?」
「大きなお世話」の気配がしましたが、たしかに私が手にしていたクマンギは葉全体が暗い色をしていました。店頭のクマンギは残り数束。そっと一番上にあったクマンギを右によけると、より黄緑色のくっきりしたクマンギが一束だけ残っていました。「これでどう?」「ああほら、それよ!そっちのほうがいいわ」
彼女と別れたあと、私は思いました。「大きなお世話になりそうだったのに、全然イヤな感じがしなかった。むしろ爽やかな気持ちがする。なんでだろ?」
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二人目は、村で一番品揃えのいい日常雑貨店のおばさんです。
スタッフの女性にベーキングソーダがほしいと伝えると、レジのすぐ脇に案内してくれました。着色料などの小瓶が並んでいます。小瓶のラベルを読みながらスタッフは、私に「ベーキングソーダとソーダクエのどちらが欲しいの?」と尋ねました。その二つはどちらも重曹のことで、英語かインドネシア語かの違いなのでは・・・?
しかしスタッフは、ラベルに書いてあることが違うのだから中身も違うのではないか、と言います。え、そうだっけ・・・私の勘違いかな・・・。自信を失いかけていたら、レジにいたおばさんが会話に入ってきました。
「みどりは何を作りたいの?」
「キャッサバの葉っぱを緑色が鮮やかに残るように茹でたくて」
「そんなら塩でいいじゃないの」
いやだからぁ、ベーキングソーダを探してるんだってば。
いつもなら、ここで「へいへい、そうですか」と帰りますが、なぜだかこの日は言葉が続きました。
「いつも塩茹でしてるけど、本でよりきれいな色に仕上がると書いてあったから試したいのよ」
「本にはなんて書いてあったの?」
「ベーキングソーダ」
「じゃあ、ベーキングソーダね」
そう言われて手渡された小瓶を購入して帰りました。この日も一瞬「大きなお世話」になりそうだったのに回避できたことが不思議でした。
あとで気づきましたが、私が手渡されたのは「ソーダクエ」でした。笑!キャッサバの葉はくっきりとした緑色に茹で上がりました。
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