大統領選挙結果の決着がつき、ジョコウィとプラボウォの和解が演出されて、インドネシアは、政治的な安定の方向へ向かっています。これから焦点となるのは、誰がどの大臣ポストに就くかという閣僚人事と、野党だった民主党、国民信託党(PAN)、そしてグリンドラ党が与党に入るのかどうか、などです。
筆者は、ジョコウィ政権の欠点として、目の前の問題解決には懸命に取り組む一方、中長期的にインドネシアをどのような方向へ導いていくのかのビジョンに乏しいことを指摘してきました。実務的、現実的ではあるのですが、中長期的な視点に欠けているのは、地方首長出身者という点が反映しているのではないかと思っていました。
しかし、ジョコウィは、実はそうでなかったことに気づきました。なんと、「2085年のインドネシアはこうありたい」という夢を持っていたのでした。そして、その意思を踏まえる形で、2045年までの開発ビジョンが作られていました。
今回は、その内容を概略的に紹介し、ジョコウィ政権がどんなインドネシアの将来を描いているのかの一端を明示してみたいと思います。
●『インドネシアの夢2015~2085』
筆者は知らなかったのですが、ジョコウィ大統領は、大統領就任後1年ちょっと経った2015年12月30日、インドネシア最東端のパプア州メラウケを訪問した際に、『インドネシアの夢2015~2085』と題する手書きのメモを作成していました。
この手書きメモは、2085年のインドネシアの姿を描いたもので、以下のような7項目から構成されています。
(1) 世界の他民族に勝る優秀なインドネシアの人材
(2) 多文化主義で文化的・宗教的に気高く、倫理感の高いインドネシア社会
(3) インドネシアが世界の教育・技術・文明の中心になる
(4) 汚職行為のない国民と政府役人
(5) インドネシア全土に平等なインフラの建設
(6) インドネシアが自立した国、アジア太平洋で最も影響力のある国になる
(7) インドネシアが世界の経済成長のバロメーターになる
ジョコウィ大統領の手書きメモ『インドネシアの夢2015-2085』(出所)https://news.detik.com/berita/d-3933581/prabowo-indonesia-bubar-2030-dan-impian-jokowi-2085
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