よりどりインドネシア

2018年11月08日号 vol.33

ブル島ハゲ山の違法金採掘をめぐって(松井和久)

2018年11月08日 13:12 by Matsui-Glocal

マルク州のブル島といえば、インドネシアを代表する作家であるプラムディヤ・アナンタトゥールが送られた島として記憶されている方も多いと思います。

彼は、1965年9月30日事件を起こしたとされるインドネシア共産党との関係を疑われ、ブル島に10年以上にわたって政治犯として幽閉されました。この間に、『人間の大地』『すべての民族の子』『足跡』『ガラスの家』の4部作を完成させましたが、スハルト時代には彼の作品は発禁されました。

プラムディヤ・アナンタトゥールが送られた流刑の地であるブル島は、遠く離れた寂しい小島のような印象を受けますが、現在では、マルク州有数の米作地帯であるとともに、違法金採掘でも有名な島となってしまいました。

ブル島の位置(赤い部分)(出所)https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/47/ID_Buru.PNG/260px-ID_Buru.PNG

違法金採掘の最大の舞台となっているのは、ハゲ山(Gunung Botak)と呼ばれる山ですが、ほかにも処女山(Gunung Nona)やゴゴレア(Gogorea)という場所でも違法金採掘が行われてきました。

ブル島のハゲ山(Gunung Botak)等の位置関係(出所)https://kumparan.com/@kumparannews/prahara-gunung-emas-di-pulau-buru

2018年10月9日、マルク州警察によって、このハゲ山の違法金採掘場の閉鎖が宣言されました。ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領は、全国の違法金採掘の禁止を強力に進めており、今回の閉鎖もその方向に則った措置です。

ブル島・ハゲ山の金採掘現場風景(出所)https://static.republika.co.id/uploads/images/inpicture_slide/151116181359-950.jpg

もっとも、このハゲ山での違法金採掘場は、2011年10月からの採掘開始後、これまで10回以上も閉鎖が宣言され、そのたびに、いつの間にか再開されるというプロセスをたどってきました。それほどまでに、違法金採掘の取り締まりは難しいものなのです。

なぜ、違法金採掘場の閉鎖は難しいのか。当然のことながら、そこから利益を得ている有力者らの存在が想像できます。また、金を精製するときに使用される水銀やシアンの流通も違法金採掘を促す要素です。それらはどこから来ているものなのでしょうか。

今回は、様々な新聞報道を参考にしながら、以下、違法金採掘の実態の一端を明らかにし、上記の疑問に対するいくつかの示唆を提示してみたいと思います。

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