よりどりインドネシア

2024年02月07日号 vol.159

ラサ・サヤン(49):~家庭の害獣・害虫~(石川礼子)

2024年02月08日 01:38 by Matsui-Glocal
2024年02月08日 01:38 by Matsui-Glocal

●雨期の悩み

雨期に入り、私の家の内外には害獣・害虫が増えているような気がします。害獣とはネズミ、ヤモリ(チチャック)、イタチ(インドネシア語でムサン)で、害虫は蚊、ハエ、コバエ、蟻、ゴキブリ、ダニ、ノミ、ムカデなどです。

「チチャック」と聞いて、なかには「チチャックは蚊やハエを食べてくれる益獣でしょう」とおっしゃる方も多いと思いますが、個人的には「チチャック」を有り難いと思ったことがありません。むしろ、壁に飾ってある時計や絵画の後ろに住み着いて糞だらけにするし、突然ヒョロッと現れてヒヤッとさせられるし、夜中に台所や食卓にある食べ物を漁られたりして迷惑を被っています。

先日も朝起きたら、ベッドで私の下敷きになったチチャックの死体があり、ベッドにまで潜り込んでくるのかと、朝から嫌な気分になりました。だからといって、チチャックに向かって防虫スプレーを撒いたり、追い払ったりはしていないので、我が家には常に何匹か(もしくは何十匹かも)は住み着いています。

これは、ほんの一例で、他にも害獣・害虫に悩まされることが多々あります。そこで、インドネシアの特徴的な害獣・害虫の種類や生態等について調べてみました。テーマがテーマだけに、添付の写真も含め、気分を害される方もいらっしゃるかもしれません。その点、ご了承ください。

●害虫

我が家にとって一番煩わしい害虫は、「蚊」です。特に、私は蚊に刺されやすい体質なので、毎日、家にいるだけで最低でも5箇所は刺されます。したがい、蚊除けクリーム(ローカル製品の『Autan』が良く効く)は欠かせませんし、かゆみ止め(これもローカル製品の『Balsem』)も常備しています。「デング熱」に罹るのが怖いので、ネッタイシマカに刺されないよう、水を溜めず、朝夕と家の要所要所に防虫スプレーを撒いています。

この防虫スプレーがまた問題で、私は毒性が少ないフマキラー・インドネシア社の『ベープ(Vape)』を使いたいのですが、主人は小さい頃から馴染みのある、でも毒性の高いローカル企業の『バイゴン(Baygon)』や『ヒット(HIT)』が一番だと言って、スーパーマーケットで買い求めます。仕方なく、寝室だけには『ベープ』を使うようにしています。フマキラー・インドネシア社もすでにインドネシア進出30年以上なのだそうです。ベープの製造・販売、そして害虫駆除の施工もされているとのこと。フマキラー全体で海外事業が売上げの4割以上を占め、インドネシアはその中でも一番の拠点となっているそうです。それだけ、インドネシアには『ベープ』を買う人も、退治すべき害虫も多いということなのでしょう。

スーパーマーケットで販売される防虫スプレーの数々。(出所)https://www.shutterstock.com/search/baigon

「蚊」の次に困るのが「ハエ」です。「ハエ」と一言でいっても調べてみたら、多くの種類が存在します。ショウジョウバエだけではなく、ノミバエ、キノコバエ、チョウバエなどの「コバエ」がいます。そこからさらに数種に分かれするそうですが、素人目にはどの種類の「コバエ」かは見分けられません。

このかなり小さな「コバエ」が大量発生しており、冷蔵庫を開けた隙に入り込むのか、冷蔵・冷凍庫の中にまで入り込み、掃除するだけでも大変です。レストランなどでも「ハエ」が飛び回って、落ち着いて食べられないことが良くあります。手で追い払いながら食べるのにイライラしていると、店員さんがロウソクに火を点けた皿を持ってきてくれたりします。ちなみに、日本で販売されているアース製薬の『ハエとり棒』はインドネシア製だそうです。

コバエの種類(出所)https://limia.jp/article/1535707/

「蟻」は、甘いものに群がりますが、特に甘味の強い果物ランブタンには、あっという間に大群で押し寄せるから驚きます。「シロアリ」もインドネシアでは困った害虫の一つです。私の知り合いの家の天井に「シロアリ」が巣を作っていたらしく、ある日突然、天井が落ちてきて住めなくなったという話を聞きました。何年か前に、「シロアリ」に数千万ルピアの紙幣を食べられてしまったという事件が中部ジャワ州ソロ市でありました。兼業しながら、こつこつと稼いだ現金をプラスチックの容器に保管していた学校の警備員さんが2年半かけて貯めたお金のうち、5,000万ルピアの大量の紙幣がシロアリ被害に遭ってボロボロになってしまったというニュースがソーシャルメディアで拡散されました。拡散されたお陰でインドネシア中央銀行は、シリアルナンバーを確認できれば交換してくれる、とコメントしました。

「シロアリ」に食べられた紙幣(出所)https://news.lifenesia.com/?p=24220

「ゴキブリ」は幸いなことに、防虫スプレーのお陰か、最近は動いている「ゴキブリ」を見ることはありません。時々、死に掛けているのや、亡きがらを家の内外で見ることがあります。それでも、「ゴキブリ」が大嫌いな私はそれをつまんで処理することができません。そうなると、ウチのメイドさんの出番です。どんなにデカイ(失礼!)ゴキブリもヒゲをつまんで新聞紙に包んで外のゴミ箱に捨ててくれます。主人に頼んでも『死んだゴキブリくらい自分で取れよ』と言って取り合ってくれません。メイドさんは、主人より頼れる存在です。

「ダニ」や「ノミ」は、日本の梅雨の時期に多く発生しますが、年中暖かいインドネシアでは一年中、活発です。「蚊」に刺されやすい私は「ダニ」にも刺されやすく、地方のホテルに宿泊したりすると、いっぺんに刺されてしまいます。なので、地方に旅行する際には、リネン用の防虫効果のあるアロマスプレーを持参して、寝る前に寝具に散布するのが通常です。「ダニ」も「ノミ」も目に見えないので、どちらに刺されたのか判断するのは難しいのですが、刺されたところが水ぶくれになったりすると、「ノミに刺されたのだ」と判断します。「ノミ」は、ペットのウサギから発生していることも考えられますが、犬や猫に比べると、ウサギにはノミは付きにくいようです。痒がっていることもありません。

そして、悩ましい最後の害虫は「ムカデ」です。日本では「百足」とも言いますが、インドネシアでいう『Kaki Seribu(千の足)』とは、実は「ムカデ」ではなく、「ヤスデ」のことなのだそうです。その違いは、「ムカデ」は肉食性で毒が有りますが、「ヤスデ」は毒が無いそうです。さらに詳しく言うと、「ムカデ」は一つの節から左右に1本ずつ脚が出ていますが、「ヤスデ」は一つの節から左右に2本ずつ出ているそうです。風呂場に出てくるのですが、それが「ムカデ」なのか「ヤスデ」なのかは、はっきりしません。「ムカデ」にしても「ヤスデ」にしても、排水溝から侵入してくることが多いそうなので、時々、排水溝にも「ベープ」を散布して、蓋をしたりして退治しています。

「ムカデ」と「ヤスデ」の違い(出所)https://limia.jp/article/1593281/

(以下に続く)

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  • 停電・断水
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