(編集者注)本稿は、2022年5月8日発行の『よりどりインドネシア』第117号に所収の「ロンボクだより(67)」の続きです。2018年に起きたロンボク地震の記憶をつづります。なお本稿は2022年7月発行の『よりどりインドネシア』第121号に続く予定です。
「ラッキー」とキャッキャと喜べるものではないかもしれませんが、支援物資が震災後4日目には手に入ったことはとても幸運でした。前震のあった場所でいくつかの団体がすでに活動を行っていたことが、本震被災地への支援品の到着を早めたのではないかと思います。
それ以降、避難地にいるあいだも自宅に戻ってからも、たくさんの支援品に助けられました。私は支援品を受け取る立場でもありましたし、日本の方々との調整役として必要なものを聞き取って要請し、配布する立場でもありました。
今回は、村に届いた支援品のあれこれについての記録を箇条書きとメモの形でまとめます。
バリ島から救援物資を運んできた車。道の混雑を避けるため、PEDULI LOMBOK(「ロンボクを気遣う」の意味)の垂れ幕を掲げている車が優先された。
先ず必要だったのは衣食住、そして衛生品です。
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ブルーシート、薄い敷物
日本のように体育館がないため、震災後は住む場所をどうにかして確保せねばなりませんでした。私たちは竹を柱に、ブルーシートを屋根に、敷物を下に敷いて当座をしのぎました。ですので、シート類はいくらあっても足りませんでした。
これらは避難地から自宅近くに戻ってからも使われました。とくに家をなくした人は、ブルガ(高床式の東屋風建物)の柱にシートをはって壁代わりにし、簡易的な家としました。
現地では価格が高騰。入手困難でも、支援物資を運ぶ車の荷台からは、丸くくるめられた敷物が必ず見えていました。
寝具
かさばるので支援物資としてとっさに思い浮かばないかもしれませんが、必需品なんだなと痛感したのが寝具です。毛布、枕、そしてやっぱりインドネシア、抱き枕は避難地にも運ばれてきました。毛布は国家防災庁(BNPB)からの支援品の中にも入っていました。避難初期はサロン(筒状の布)が毛布や枕になり大活躍。
支援品の分配
食べ物
なんといっても飲料水と赤ちゃんのミルクですが、私たちのところは、避難地の丘を下ったところにある井戸から水をくんで煮沸して飲んでいたので、水は手に入りました。
食べ物は「なんでもいいから必要」な時期はごくわずかで、あとはだんだん日常的な料理の食材、そして嗜好品が欲しくなります。日々の食事に欠かせないサンバル、コーヒー・紅茶、お菓子など。そうそう、タバコもね。嗜好品はなくても生きていけますが、あるとホッとします。体だけでなく心の健康も守ってくれたと思います。
食べ物はもちろん、調理用具やコンロ、熱源もいります。マッチやライターは必ず使いますが、支援物資では見かけなかったような・・・。こちらでは手でご飯を食べるのでお箸やスプーンは不要でした。日本だと必要ですよね。
衣料品
瓦礫の撤去などがすぐに始まるので、動きやすい・洗ってすぐ乾くものが助かりました。女性たちに新品の下着と汚れが目立ちにくい黒いゆったりしたパンツを配った時はとても喜んでもらえました。
ほぅ~、インドネシアだなぁと思ったのは、同じロンボク島の違う地方の人々やインドネシア全国から届く支援品のなかに礼拝時に使う服が入っており、それらが争奪戦になることでした。丈の短いスカートやパンツは私たちのところでは着られないので、バリ・ヒンドゥーの人々の集落へ持っていきました。
衛生品、医療品
生理用品!オムツ!!これ絶対!!!オムツは高齢者用も必要です。それと、いつもならオムツの外れている3~5歳くらいの子のなかにも、避難地にいる緊張感や不安感でオネショをする子がでてきました。私はとある母親に、子どもがオネショしそうな気配だから大きめのオムツが欲しいと言われ、このことを知りました。なかなかここまで気が回らなかったので、いい勉強になりました。
歯磨きセット、カミソリ(男性の髭剃り用)は配ったときにすぐなくなりました。そして、盲点は爪切り。爪って伸びるんですよね・・・。赤ちゃんのいる家庭から綿棒・ベビーパウダー・ベビーオイル、ウェットティッシュ(おしりふき)の要請がありました。
また、たまたますれ違った赤十字にお願いして救急セットをいただき、村で管理していました。ちょっとした発熱、切り傷や擦り傷に役立ちました。
私を含めて支援品をまとめている者が慌ただしくしていたり、表情が険しかったりすると、ほしいものがあっても伝えることを我慢をする人もいました。なるべく心を落ち着けて、ニコニコこちらから話しかけるようにしていましたが、避難地のみんなにはどう映ったかなぁ。
つづいて、学用品、遊具など。
コーラン
被災して10日と経たない頃に、コーランとアラビア語習得本(Iqro)を大量に送ってくれたロンボク島内の団体がありました。またインドネシア国内からの支援品のなかには中古衣料とともによく入っていました。こんなにも必要なものとして認識されているのですね。
学用品
子どもの支援をしている団体が送ってくれました。筆記用具、ノート、小さなリュックのセットです。学校はまだはじまっていませんでしたが、子どもたちは嬉しかったようです。絵本や塗り絵なども喜ばれました。
イクロと塗り絵本
遊具
生活における遊び(余裕)が少しずつ出てくると、大人も子どもも遊びたくなるようです。ボール、バドミントン、カード、ボードゲーム、ぬいぐるみなどが送られ、皆で楽しみました。
ぬいぐるみをもらってうれしそうな子ども
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(⇒こんなふうに、本当にたくさんの・・・)
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