2014年4月に中ジャワ州ソロ(スラカルタ)へ出張したときのことです。
そのときは、ウォノギリ県への訪問など、2日間の仕事を終えてソロ市内へ戻りました。ソロ・バラパン駅で、当時住んでいたスラバヤ行きの帰りの列車までまだ1時間ありました。
よし、それならば、ナシ・リウェット(Nasi Liwet)を食べに行こう!
早速、駅からタクシーに乗って、ナシ・リウェット屋が並ぶクプラボン・クロン(Keprabon Kulon)まで連れて行ってもらったのですが・・・。
時間は午後4時過ぎ。まだ開いていないのです。「たぶん、5時頃には開くと思うよ」と教えてくれるのはタクシーの運転手。でも、スラバヤ行きの列車「サンチャカ・ソレ」は5時5分にソロ・バラパン駅を出発するのです。
ダメかな、と思っていると、ちょうど1軒、店を開け始めたところがありました。まだ準備中でしたが、お願いして、食べさせてもらうことができました。
この店は、1950年に創業したらしいです。「おばあちゃんが始めたのよ」とナシ・リウェットを準備するおねえさんが答えます。店が始まると、あのゴザが敷かれ、折りたたみの低いテーブルがここに並ぶのだな、と想像できます。
店の前の「カウンター」に座ります。目の前には、ナシ・リウェットにのせる様々なおかずが並んでいます。鶏肉の塊(これをスライスする)、臓物、野菜を煮込んだスープ・・・。横にはニワトリの脚(チャカル)がありました。
そういえば、ジャワ人はけっこう、チャカルが好きなようですね。スラバヤでも、チャカル入りのワンタンメンをしきりに勧められたことがあります。
これらをご飯の上に手際よく盛って、さっと野菜を煮込んだスープをかけ、ココナッツ・ミルク(サンタン)の固まりをてっぺんにつけてできあがり。
これを混ぜながら食べるのです。汁が絶妙な辛さで、鶏肉や臓物との相性がとても良い! プニュっとしたココナツ・ミルクの固まりがなんとも言えないアクセントになります。
実は、ソロ名物のナシ・リウェットを食べたのはこれで2回めでした。以前、20年以上前に、ジャカルタのブロックMの南側の屋台で食べたのが最初です。あのときのは、ココナツ・ミルクの固まりがもっとドロッとしていて、全体的に甘かった記憶があります。
当時、ジャカルタで下宿していた大家さん(おとうさん)がソロの出身で、連れて行ってくれたのでした。今回、本場のソロで、あのときよりずっと美味しいナシ・リウェットを食べながら、今は亡き「おとうさん」の笑顔をふっと思い出していました。
(松井和久)
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