よりどりインドネシア

2022年09月08日号 vol.125

ラサ・サヤン(34)~アフターコロナの観光業~(石川礼子)

2022年09月08日 08:43 by Matsui-Glocal
2022年09月08日 08:43 by Matsui-Glocal

●超高級ホテルラッシュ

昨今、ジャカルタやバリ島で超高級ホテルの開業が続いています。

ジャカルタでは、昨年(2021年)3月に5つ星ホテル“InterContinental Jakarta Pondok Indah(客室数:311)”が、9月9日に5つ星の“The Langham, Jakarta(客室数:223)”が開業、そして、今年(2022年)7月8日には、6つ星の“Park Hyatt Jakarta(客室数:220)”が開業しました。そして、12月初旬には同じく5つ星の“The St. Regis Jakarta(客室数:280)”が、2023年の第3四半期には6つ星の“Waldorf Astroria Jakarta(客室数:182)”が開業予定となっています。

ジャカルタにおけるInterContinentalホテルグループの歴史は、“Hotel Borobudur Inter-Continental”として開業した1974年に遡りますが、その後、1990年代に契約が解消され、現在の“Hotel Borobudur Jakarta”になります。1998年に“InterContinental Midplaza Jakarta”として開業しますが、2017年には契約を解消、現在は“The AYANA Midplaza, Jakarta”になっています。そして、昨年の2021年、“InterContinental Jakarta Pondok Indah”としてジャカルタに再来しました。

The Langham(ザ・ランガム)は、ロンドンの元祖高級ホテルと言える老舗の一つで、“The Langham, London”は1865年に開業し、当時はヨーロッパ内で最も豪華絢爛なホテルとして栄えた一軒です。現在、本社は香港にあり、中国をはじめ、世界に着々と進出しています。2024年に東京・六本木4丁目に開業予定とされている“The Langham, Tokyo”に先立ち、“The Langham, Jakarta”は開業しました。

Park Hyattは、ハイアット・ホテル・アンド・リゾーツのブランドの一つで、300室以下のスモール・ラグジュアリー・ホテルです。ハイアット・ブランドの中でも最上位に位置付けされており、ジャカルタで最初の6つ星ホテルとなります。

The Langham, Jakarta.(出所) https://www.langhamhotels.com/en/the-langham/jakarta/

Park Hyatt Jakarta.(出所) https://stay-hub.com/en/o/park-hyatt-jakarta,4l5fc.html

 

St. Regis(セントレジス)は大阪にもありますが、マリオット・インターナショナルの中でも最高級ブランドです。“The St. Regis Jakarta” には、ホテルだけではなく、レジデンスも併設されています。また、ジャカルタよりもかなり早く、“The St. Regis Bali Resort”は5つ星ホテルとして2008年に開業しています。

Waldorf Astroria(ウォルドーフ・アストリア)といえば、ニューヨーク・マンハッタン地区にあるホテルが有名ですが、ヒルトン・ワールドワイドの中の最高級ブランドです。“Park Hyatt Jakarta”に次ぐ、二番目の6つ星ホテルとなります。現在、タムリン通りを通ると、日本大使館近くに建設中のかなり高いビルが見受けられます。それが74階建ての“Waldorf Astroria Jakarta”で、ジャカルタで最高層の建物になる予定です。

The St. Regis Jakarta.(出所) https://www.indonesiatatler.com/homes/real-estate/new-class-of-luxury-at-the-residences-at-the-st-regis-jakarta

Waldorf Astria Jakarta.(出所) https://pinterpoin.com/hotel-mewah-baru-di-jakarta-st-regis-waldorf-astoria-park-hyatt-dan-the-langham/

●ユニークなコンセプト

次に、バリ島ですが、今年開業したホテルには、5つ星の“Buahan, a Banyan Tree Escape(客室数:16)”、5つ星の“Jumeirah Bali(客室数:123)”、5つ星の“InterContinental Bali Sanur Resort(旧Fairmont、客室数:120)”、そして、5つ星の“Lost Lindenberg(客室数:8)”があります。今年中に開業予定のホテルには、5つ星の“Anantara Ubud Bali Resort(客室数:85)”と、5つ星の“Kimpton Naranta Bali(客室:50)”、そして2023年(未定)に5つ星の“Patina Ubud Bali(客室:102)”などがあります。

Buahan, a Banyan Tree Escape.(出所) https://all.accor.com/hotel/B9B5/index.en.shtml

Jumeirah Bali.(出所) https://id.linkedin.com/company/jumeirahbali

Lost Lindenberg.(出所)https://www.fimela.com/lifestyle/read/5009633/menikmati-keindahan-bali-barat-bersama-lost-lindenberg

InterContinental Bali Sanur Resort.(出所) https://fairmont-sanur-beach-hotel-bali.booked.net/

“Banyan Tree”は、タイのバンヤンツリー・グループ(本社:シンガポール)のブランドで、中でもEscapeは宿泊客を大人のみ(18歳以上)に限定しています。ウブドの北、ブアハン村に開業した“Buahan, a Banyan Tree Escape”のテーマは“No Wall, No Doors(壁なし、ドアなし)”で、都会とは真逆の日常を逸脱し、自然の中に身を置いて裸の心と身体を取り戻すことがコンセプトです。

“Jumeirah Bali”は、ドバイのジュメイラ・グループが、インド洋を見下ろすウルワツの石灰岩の断崖に開業したアラブ・テイストの近代的リゾートで、スパでは本格的な「ハマム(中東の伝統スパ)」が体験できます。

客室が8部屋しかない“Lost Lindenberg(ロスト・リンデンバーグ)”は、バリ島西部ジャンブラナにあります。このツリーハウス・スタイルのエコリゾートは、ドイツのリンデンバーグ・ホテルグループによるインドネシア初進出のホテルです。地元コミュニティと連携を図り、バリ島の文化、伝統、環境を大切にする高床式のユニークな建築に、ビーガンレストランや共有スペースが設けられています。黒砂海岸のメデウィ・サーフポイントにも近く、街中の喧騒を離れ、のんびり自然に溶け込むように過ごしたいサーファーにぴったりです。

●ポテンシャルな観光市場

しかし、なぜ、こんなにも多くの高級ホテルが昨年から開業し続けているのでしょうか。

日本旅行インドネシア(PT. JABATO INTERNATIONAL)の水柿マネージャーは、「コロナ以前からインドネシアの経済成長と、世界的な観光やビジネスのポテンシャルの高さから大手外資系企業が戦略的に進出を決めていたホテルが、このタイミングで完工、開業したのでしょう」と話します。「ジャカルタは現地人の人件費が低くて、経営コストが低く抑えられる分、同じブランドの他国のホテルよりも安く提供できるので、富裕層や外国人には『お得感』があり、大きな収益が期待できる市場です」と分析します。

2021年のBPS(インドネシア中央統計庁)のデータに依ると、インドネシア全国の1~5つ星ホテルの数は3,521軒(345,062室)となっています。そのうち、ジャカルタは384軒で、うち88軒が5つ星ホテルです。

バリ島は403軒で、うち78軒が5つ星ホテルです。星が付かない宿泊施設を入れると、全国のホテル数は27,000軒以上(約719,000室)にも及びます。

少し古いデータになりますが、2019年の5つ星ホテルの多い都市ランキングでは、バリ島はロンドン、ニューヨーク、ドバイ、パリ、マイアミに続いて、世界6位にランクインしました(日本は27位)。今は、ジャカルタのほうが多くなっていますが、今年~来年で、この順位はまた大きく変わるでしょう。

コロナ禍前の2018年に、航空関連の調査会社OAGは『世界で最も忙しい路線』を発表し、ジャカルタ=スラバヤが世界でも8位(年間フライト数:37,762)、ジャカルタ=デンパサールが14位(年間フライト数:31,958)でした。

コロナ発生以降、当然、国際線・国内線ともに便数は激減しましたが、比較的、スカルノ・ハッタ国際空港に近いところに住んでいる私は、この1ヵ月ほど、やたら飛行機の音がうるさく感じるほど頻繁に空のトラフィックが激しくなっているのを感じています。騒音は迷惑ではありますが、人の往来が戻った嬉しさもあります。

(以下に続く)

  • バリ島の魅力
  • アフターコロナを見据えて
  • 新しい観光地
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