よりどりインドネシア

2023年02月23日号 vol.136

ウォノソボライフ(60):高山植物? ディエン高原にはこんなものも生えてます(神道有子)

2023年02月23日 22:13 by Matsui-Glocal
2023年02月23日 22:13 by Matsui-Glocal

高山パパイヤのカリカ、滋養強壮によいプルワチェン、シオンタバコに欠かせないダイオウなどなど・・・。これまで、ウォノソボ名物となっているいくつかの植物について焦点を当ててきました。それらの多くはディエン高原でしか採れない種であるため、それらを使った商品は土産物としてのポテンシャルも持っています。

他にも、じゃがいも、タバコの葉、お茶など、現在のウォノソボの農業界を支えるのは、比較的涼しい地域で育つ植物たちです。農業従事者が大半のウォノソボでは、これらの植物がウォノソボ経済の要になっていると言っても過言ではありません。

実は、それ以外にも、目立たないけれどディエン高原で自生あるいは栽培されている、ちょっと珍しい植物たちもいるんです。日本のような気候の地域では珍しくないけれど、熱帯のインドネシアにおいては分布が限られている植物たち。いつかディエン高原を散策することがあったら、探してみてください。

●タマリロ

タマリロ、ツリートマト、インドネシア語ではテロン・ブランダ(Terong Belanda: オランダナス)。この辺りではクマルの実(Buah Kemar)とも呼ばれます。様々な名前を持つこの果実を見たことあるでしょうか?

原産は南米ですが、おそらくオランダが持ち込んだのでしょう、オランダナスという名で親しまれています。インドネシアでは標高の高い地域で見られるものです。ツルッとした皮に楕円形の実の形は、確かにトマトのようにもナスの子供のようにも見えます(こちらのトマトは細長い形のものが主流です)。そのまま食べてもいいですし、ジュースにしても、料理に使ってもOK。トマトよりもフルーツらしい味わいです。

手にのるタマリロ

タマリロの木

原産は南米ですが、おそらくオランダが持ち込んだのでしょう、オランダナスという名で親しまれています。インドネシアでは標高の高い地域で見られるものです。ツルッとした皮に楕円形の実の形は、確かにトマトのようにもナスの子供のようにも見えます(こちらのトマトは細長い形のものが主流です)。そのまま食べてもいいですし、ジュースにしても、料理に使ってもOK。トマトよりもフルーツらしい味わいです。

ディエン高原では、大きなカゴいっぱいに盛られたタマリロが道端で売られているのを見ることができます。主に観光客が買っていくようです。さらに、近年では、カリカのシロップ漬けにタマリロから作ったシロップを使う商品も出されるようになりました。爽やかな甘酸っぱさが魅力のタマリロ、是非一度はお試しください。

●そら豆

インドネシアにそら豆ってあるの!?あるんです…。

こちらでは、ディエン豆、またはブタ豆(Kacang Babi)という名で呼ばれています。何故ブタなのでしょう?

昔の農業報告書には、「イノシシがこの豆を嫌うからこの名がついたのではないか」とあります。インドネシア語ではブタもイノシシもBabiと呼ばれ、特にイノシシであることを強調したいときには『森の(野生の)ブタ』という言い方をします。イノシシによる獣害がひどい地域でも、そら豆だけは決して荒らされないのだとか。

ひょっとしてイノシシ除けのような使われ方もされていたのでしょうか?イノシシが好むからではなく、嫌うからという理由で名前がつくのは面白いですね。

そら豆は、地元農家の方によると、標高1500 m以上でないと実らないのだそうです。育って花が咲いても、そこまで。豆はできないのだとか。あまり商用として積極的に栽培されるものではなく、元は農家が自分たちで食べる用に畑の隅に植えていたようなものでした。

現在ではカリカリに揚げて塩をしたそら豆スナックが、お土産用に売られています。その場合は「ブタ豆」だとイメージが悪いのか、「ディエン豆」という名称です。それでも、そら豆の生産量はそれほど多くなく、生の状態で市場に出回ることもほとんどありません。地元以外での認知度が低いので、需要も限られているようです。

●ハバネロ?

インドネシアでは唐辛子は必須、「ノーチリ、ノーライフ」な食生活です。辛いモノ好きも多く、激辛をウリにする料理屋や、サンバル(チリペースト)を何十種とメニューに載せているレストランなどがSNSで話題になったりします。

そんな辛いモノ好きたちがマストで挑戦すべきと言っているのが、ディエン高原の太唐辛子(Cabai Gendot)です。

普通の唐辛子よりずいぶんと丸々としていて、小型のパプリカのように見えますが、その辛さは壮絶なもの。悪魔の唐辛子と呼ばれる、辛さが際立つ種類のものよりもずっと強烈な辛さをしています。あの激辛唐辛子ハバネロと同じくらいの辛さだ、という声もあるので、形からしてハバネロの一種なのではないかとも思いますが、別種だという人もいます。

いずれにしろ、このあたりで手に入る唐辛子のなかでは間違いなく最高峰のスパイシーさです。全部使うと辛すぎてしまうため、種を取り除いて使うという人もいるほど・・・。

塩魚の干物と炒め物にしたり、キノコと炒めたり、その使い方は様々です。辛いけれど普通の唐辛子より肉厚なぶん、食べ応えはあります。

こちらもディエン高原では観光客に人気の作物です。インドネシアの『普通の辛さ』には耐性がついてしまったという方は、是非。

(以下に続く)

  • ウツボカズラ
  • カラーリリー
  • 番外編:除虫菊
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