よりどりインドネシア

2022年09月22日号 vol.126

ウォノソボライフ(55):特産ハーブ、プルワチェンの軌跡(神道有子)

2022年09月22日 23:33 by Matsui-Glocal
2022年09月22日 23:33 by Matsui-Glocal

マグラン方面からウォノソボへ入ってくると見えてくる、独特なモニュメント。

黄色い果物は『よりどりインドネシア』第40号の拙稿でご紹介した、高原パパイヤのカリカです。そのカリカの下からちょろちょろと出ている葉っぱ、それが今回お話するプルワチェン(Purwaceng)です。

ウォノソボの土産物屋へ立ち寄ると、カリカのシロップ漬け、インスタントのミー・オンクロックなどと並び、ほぼ必ずプルワチェンの商品が置かれているのを見ることができます。ハーブの一種であり、お湯を注いで飲むのが一般的な利用法ですが、プレーンのオリジナル味のほか、プルワチェン入りコーヒー、プルワチェン入りお茶、プルワチェン入りミルク、などなど、バリエーションは様々。一体、プルワチェンとはなんなのでしょうか?

インドネシアの中でも生産しているところがほとんどなく、ディエン高原の特産品といわれる不思議なハーブ、プルワチェン。その効能や使い方などをご紹介するとともに、プルワチェン界のパイオニアであるメガさんからお聞きしたこれまでの歩みをまとめてみました。

●滋養強壮剤として

イチゴのような地面を這う細い蔓に、丸くて小さい葉っぱがまとわりつくように生えている植物、それがプルワチェンです。標高の高いところにしか生えず、ディエン高原でたまに見ることができます。

学名はPimpinella pruatjan、和名が何かはわかりませんが、セリ科の一種のようです。これを乾燥させ、他のハーブと合わせて飲み物にします。滋養強壮、そして男性の精力剤としての効果があるとうたわれています。

インスタントのプルワチェン飲料は現在多く生産されていますが、昔ながらの飲み方では以下のようなレシピがあります。

*ウェダン・ディエン(Wedang Dieng):生姜、プルワチェン、唐辛子、シナモン、椰子砂糖

*ビル・ボドン(Bir Bodong):生姜、プルワチェン、丁子、カルダモン、八角、唐辛子、シナモン、スオウ、椰子砂糖

生姜や唐辛子でピリリとしつつ、スッキリしそうな材料ばかりですね。

インスタントのプルワチェン飲料は、粉末状の乾燥ハーブをグラスに直接入れ、お湯を注いで飲む方式のものです。

生薬の薬っぽさが苦手な人は、お好みで砂糖を加えると飲みやすくなります。

その他、カプセルにしてサプリのように飲むことができる商品も販売され、健康志向の消費者に好まれています。

●ハーブ飲料あれこれ

インドネシア各地には、もともとハーブを飲みものにしたものが地域ごとに根付いていました。伝統生薬ジャムゥのように、粉末にして液状にしたもの、また乾燥ハーブを丸のままグラスに入れて成分を抽出したものなど、様々な形態があります。ジャムゥはよく知られていますので、それ以外で比較的ポピュラーなものを挙げてみましょう。

*ウェダン・ウウ(Wedang Uwuh)

ウェダンは飲み物、ウウはゴミ、つまりゴミのような飲み物、という意味の名前です。ものすごくインパクトのある名前ですが、それは香辛料がグラス内にごちゃごちゃと入っている見た目からつけられたものです。

出典:https://amp.kompas.com/travel/read/2020/03/25/142117227/cara-membuat-wedang-uwuh-minuman-sampah-yang-menghangatkan-tubuh

材料は主に生姜、スオウ、丁子、シナモン、ナツメグ、カルダモン、そして砂糖など・・・それらから出た色で鮮やかな赤色をしているのが特徴です。もとはジョグジャカルタの飲み物でしたが、今はより広い地域で楽しまれています。

*バンドレック(Bandrek)

こちらはスンダ地方(西ジャワ)の飲み物。生姜をメインに、コショウ、パンダンリーフ、レモングラスを合わせます。体が温まるので、雨の日や寒い夜などにぴったりです。

*バジグル(Bajigur)

こちらもスンダ地方の飲み物ですが、ココナッツミルクが入っているのが特徴です。生姜、椰子砂糖、パンダンリーフ、シナモンなど、ココナッツミルクと相まって独特の甘い香りがあります。

*ウェダン・ロンデ(Wedang Ronde)

飲み物というよりおやつのようなものですが、あくまで飲み物にカテゴライズされることが多いメニュー。中部ジャワでよく見られるものの、その大元は中国からきたとも言われます。生姜、レモングラス、パンダンリーフなどで煮出した汁に椰子砂糖と塩で味付けをし、緑豆入りの白玉団子、ピーナッツ、パームシュガーの実などを加えていただきます。

他にも地方ごとにまた異なるハーブを使った飲み物があります。香辛料貿易が盛んだった地域だけあって、料理以外にも日常的に飲み物としても摂取しているのですね。

(以下に続く)

  • 苦悩がもたらしたプルワチェンとの出会い
  • 商品かからの歩み
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