よりどりインドネシア

2022年04月23日号 vol.116

ウォノソボライフ(51):結婚は何歳から?脱若年婚の潮流(神道有子)

2022年04月23日 09:19 by Matsui-Glocal

断食月も半ばを過ぎ、みな断食明け大祭レバランに向け様々な準備をする季節となりました。断食期間中にはあらゆる祝宴が開かれなくなるため、断食月の前と後には結婚式や割礼式などが集中するのが通例です。今年は2年ぶりに帰省に制限がかからなかったため、レバラン直後に結婚式を執り行い、里帰りでこちらに滞在中の人たちにも来てもらおうと計画している家族もあるようです。

ところで、インドネシアの『家族計画』(Keluarga Berencana)は聞いたことがあるでしょうか。中国のひとりっ子政策ではないですが、「一つの家庭に子どもは2人までが望ましい」とする政策です。

「さあ、家族計画へ参加しよう!子供は二人で十分」

70年代に人口爆発を抑制する目的で施行され、具体的には避妊方法の提示やサポートを行っています。あくまでも自由意志が尊重され、一つの家庭で3人以上の子どもをもうけたとしても特に罰則などはありません。

避妊に対する知識などは充分広まってきていると言えるでしょう。公衆の場でも「あなたはどういう方法の避妊をしているの?」といった会話が恥ずかしく思うことなくできるなど、家族計画は生活に根づいたものになっています。

ところで、このところ婦人会などで毎回周知されるトピックがあります。それが若年婚(Pernikahan Usia Dini)に関するものです。結婚、家族、そして子どもを持つということについて、時代とともに価値観が大きく変わろうとしているのかもしれません。その渦中の人々は、どんなことを感じているのでしょうか。

●若年婚を防げ!

まず、若年婚とはなんなのか。インドネシアにおいては、これまで以下のように定義されています。

1974年憲法第1号第7章1条にて、男性は19歳、女性は16歳から結婚できる、とある。よって、それ未満での結婚は若年婚である。

しかし2019年10月14日、上記の法令が刷新され、男女ともに結婚可能年齢が19歳に引き上げられました。これに伴い、男女ともに18歳以下での結婚が若年婚とされることになったのです。

この変更について、心身ともに熟したといえるのが19歳であること、また特に女子の16歳での結婚は学業や健康などの面で障害となる可能性が高いことなどが理由として挙げられています。

さらには、インドネシア全体で課題となっている子どもの発育不良の改善も期待されているようです。心身ともに未熟な年齢での妊娠、出産が、胎児の身体形成に直接影響するほか、経済的自立の困難や育児への知識不足によって発育不良を引き起こすと見られているためです。

定義が変わったことにより、2019年以前の若年婚のデータとは比較することができなくなりました。が、コロナ禍以降、中部ジャワ州では若年婚が増えたと宗教省は発表しています。

若年婚はなぜ起こるのでしょうか。一つには、インドネシアにおいて想定外の妊娠をした場合の解決策が結婚することしかない、という点が挙げられます。中絶・堕胎が禁止されているため、一度妊娠してしまえば産むしかないのです。

もちろん、中絶に関しては各国で賛否両論あります。しかしインドネシアでは、基本的にその選択肢はないと言えるでしょう。母体に危険がある場合、また暴行の被害者など、中絶が認められる例外はあるものの、未婚であることや経済的理由では不可能です。それに宗教的に「中絶は罪になる」という認識が強く、忌避感は強いものがあります。

結婚可能年齢に満たない婚姻は裁判所の判断が必要になりますが、女性がすでに妊娠している、あるいはすでに出産している場合は、19歳未満であっても結婚が認められるケースが多いようです。婚外妊娠は社会的に間違った状態であり、結婚する/させることが唯一の責任の取り方である、とする考え方から、結果、若年婚へと繋がります。

また、これまで広く定着していた観念も大きく影響しています。すなわち、女性は料理や掃除ができ、子どもを産むことができればもう結婚適齢期だ、という考え方です。よく言われるのが、「赤ちゃんは福富を持って生まれてくる(=だから今経済的に余裕がなくても、赤ちゃんが生まれれば富に恵まれる)」というものです。とりあえず前へ進んでみよう、なんとかなるだろう、といったポジティブさは結婚にも適用されるのです。婚前交渉や同棲を嫌い、子どもに恋人ができたならそのまま結婚へと後押ししようとする親は少なくありません。

親たちは、「家庭を築きながら大人になりなさい」と伝えます。成熟するのを待って結婚するのではなく、結婚し試行錯誤するなかで少しずつ大人になればいいのだ、と。それは結婚したての夫婦はまだ何もできないからと、親世代が積極的に息子/娘夫婦の子育てをサポートする姿勢にもなりますが、結果的には若年婚を呼び込んでもいます。

そして、特にコロナ禍以降は、経済的理由で若年婚へと至ることもあります。つまり、親の収入が減り、家族を養っていくことが困難になったことから、扶養を減らすために娘を嫁に出す、という流れです。若年婚をする若者たちのうち、圧倒的に女性の数が男性を上回っています。

(以下に続く)

  • 対策と効果
  • 若年婚全盛期世代
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