よりどりインドネシア

2022年04月23日号 vol.116

ジョグジャ・ドタバタ日記(5):お帰り、サリナ(沼澤うらら)

2022年04月23日 09:18 by Matsui-Glocal

2022年3月21日、ついにサリナ・デパートが帰ってきました。タイトルが何やら朝ドラっぽいけれど、この一言に尽きるのでお許しを。

私がジャカルタで一番よく行くモールはスナヤンやホテルインドネシア周辺のピカピカなモールではなく、サリナ・デパートです(以下、親しみを込めてサリナと呼ばせてもらいます)。理由はジャカルタ出張で利用する定宿が程近いからということですが、やはりいい意味での高級感のなさが私のようなジョグジャ在住のおばちゃんにはちょうど良かったのかもと思います。これを機会に、少しサリナについて振り返りつつ、新しいサリナを紹介します。

サリナは1962年に日本からの戦後賠償で建てられ1966年に開業した国営デパートで、2020年から大規模改修で閉鎖されていました。ちなみにサリナとは、スカルノ初代大統領家に仕えた地方出身のお手伝いさんのお名前だそうです。地下にスーパー、ドラッグストア、そしてリーズナブルなカフェテリア、上階は服飾雑貨、そしてインドネシア各地から集めたハンディクラフトが販売されており、様々な用途で何度もお世話になりました(とくに地下のNasi Campurとタピオカミルクティー)。

大規模改修の際、「インドネシアのローカルブランドを中心としたコミュニティーモール」を「モダンな建築デザインで」という、他の一般的なモールと差別化を図るコンセプトが示され、どんな姿を見せるか楽しみにしていましたが、改装終了は2021年8月、いや11月だと延び延びになっていました。

●久々にサリナに会いに行く

3月21日、所用があってジャカルタへ。定宿を目指して来たら、サリナが賑わっているではありませんか!慌ててニュースをググってみたら「本日新装オープン」(このフレーズ、パチンコ屋みたいですが、まあそういうことです)。これはもう行かねばなりません。定宿でチェックインを済ませ荷物を部屋に押し込んで、はやる気持ちで行ってきました。

まあ立派なお姿になられて・・・。タムリン通り側と南側にあるL字状の敷地は「コミュニティーモール」のコンセプトを体現したテラスになっており、自由に写真を撮ったり喋ったり、何かを飲んだりする憩いの場になっていました。駐車場を立体化することで省スペースが適ったのでしょう。

アイコンの一つである正面の巨大な階段もそのまま残されており、予想通り階段に座って思い思いにサリナを楽しむ人がいっぱいで、上り下りには苦労しました。たしかにここはお安く特別な時間を過ごすには一番いいよね、と共感(もうちょっと若かったらそこに加わるんですけど・・・)。

●見覚えのあるレリーフ

1階はバティックなどのエスニックファッションの売り場とカフェやレストランが入っています。その真ん中の吹き抜けスペースに、見覚えのある幅の広いレリーフの大作が鎮座していました。これは大規模改修の際に「発見」されたレリーフです。「発見」というより忘れ去られてしまっていたレリーフが改修により姿を見せたので、大きなニュースになったのでした。

(出典)https://www.liputan6.com/bisnis/read/4458322/jadi-viral-seperti-apa-patung-dan-relief-warisan-soekarno-di-sarinah

サリナが建てられた際にジョグジャカルタの芸術家グループが庶民をテーマに作成した彫刻であることまでは分かっているそうですが、具体的な名前までは調査中。開店してから20年弱はサリナの顔としてお客さんを迎えていたそうですが、1980年代に発生した火災後の改装によるレイアウト変更で、レリーフが見えなくなってしまっていたとのこと。あのマクドナルド(後述)の後ろ側にひっそりと息をひそめていたのでした。

ユーザーとしてはマクドナルドのあのちょっと形が変なスペースの辺りだったのかなと想像がつきます。経年劣化は多少あるものの意外と破損が少なかったようで、こんなに貴重な資産を放置しておくとは勿体ないとの国有企業大臣の指示により、再びサリナのアイコンとして復活を遂げました。1980年代初めにジャカルタにいた者としては見覚えのある、懐かしさを覚えました。ともあれ、お帰り、レリーフ。

アイコンとしての復活は成功し、写真を撮る人がかなり多かったです。アート作品としてもなかなか庶民の生き生きとした美しい力を感じられる素晴らしいものだと思います。マクドナルドの裏当たりでかれこれ40年も眠っていたのですが、そんな古さは一切感じさせないもので、一見の価値はあります。私もしばらく細部まで楽しみました。

隣には写真で見るサリナの歴史が展示されていました。個人的にはキャプションぐらいでいいので、ちょっと説明がほしかったなと思いました。当時は今と違ってドキュメンテーション文化もまだ確立していなかったのかもしれないし、単に間に合わなかったからかもしれないですね。ともあれ、こういう展示はいいですね。

素敵な商品が並ぶ。いっぱい過ぎて迷っちゃうかも。散財危険地帯(笑)。

改装前の箱型サリナからは想像できないおしゃれな吹き抜けスペース。採光の仕方が素晴らしい。

(以下に続く)

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