みなさん、こんにちは。早くも年の瀬ですね。ロンボク島は、今年もコロナの影響で静かに新年を迎えることになりそうです。
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12月の上旬に、勤務先の高校で期末テストがありました。私の学校の生徒たちは、鉛筆やシャーペンを使わずにボールペンで解答します。それなのに!
私が試験監督として入ったクラスでは、ボールペンを持参しない生徒が数人いました。おーい、テスト受ける気あるんですかー?
しかし、ボールペンなしではテストが受けられないので、私は自分のボールペンを貸しました。借りたものは返さないのがこちらの文化。こんなこともあろうかと多めにボールペンを筆箱に入れていたのですが、2クラスで4本のボールペンがきれいになくなりました。
「やれやれ、困ったなぁ。このあともう1クラス監督しないといけないのに、ボールペンがないんじゃ出席簿の記入もできないや」
私は、どこでボールペンを入手しようかと考えはじめました。学校の前のなんでも屋さんで買おうかな。休憩時間中に行って戻ってこられるかしら・・・。それとも、事務局にいえばボールペンを支給してもらえるのかな?
あれこれ思案していたところ、生徒M君がテストの答案用紙とともにボールペンを持ってきました。M君は私が貸したボールペンを返しに来たのです。わ、助かる、サンキュー、と私はボールペンを受け取りました。
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テストが終わり、私はクラスで回収した答案用紙をもって事務局へ行きました。ふぅ、あと1クラスだ・・・と思いつつ、M君のことが気になっていました。「あの子、どうやって次の時間のテストに解答するんだろう?」
甘やかし過ぎかなぁ、でも・・・と、私は、M君のために事務局でボールペンを1本いただき、校内の食堂へ向かいました。休憩時間にM君が友達と食堂へ行こうとしているのを見ていたからです。食堂へ行くと、M君が4~5人の友だちと座っているのが見えました。
私はM君にボールペンを差し出しました。
「はい、これ使いな。次のテスト、困るでしょ」
M君は口をポカンとあけたまま、ありがとう、と言いました。
じゃあね、テストがんばって、と食堂から立ち去ろうとしたとき、食堂のご主人がM君の腕を掴んで、私に言いました。
「先生、こいつ、お父さんがいないんだよ」
M君のどこか恥ずかしそうな顔を見て、「そんなこと、M君とM君の友だちの前で言うなよー」と思いました。M君、困ってるやんかー。
(でも、ご主人はふざけているのでもなく・・・)
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