よりどりインドネシア

2021年09月07日号 vol.101

ジョグジャ・ドタバタ日記(1):ワクチン争奪戦記(第1回)(沼澤うらら)

2021年09月08日 19:12 by Matsui-Glocal

はじめに

今号から、新しい執筆者として、ジョグジャカルタ在住の沼澤うららさんに加わっていただきました。沼澤さんには2021年8月21日のオンライン・オフ会で通訳をお願いしたので、覚えていらっしゃる方もいることと思います。生活者の視点から、ジョグジャカルタのドタバタな日々を軽やかにお伝えいただけるものと思います。お楽しみに! まずは、ご本人の自己紹介から・・・。

自己紹介:沼澤麗(ヌマザワウララ)。来年年女の新潟県生まれ。父の仕事の関係で1980年代初頭の小学生の時にソロに2年半、ジャカルタに1年滞在。帰国後、もう一度インドネシア語をやり直したいと思い、高校在学時に拓殖大学の語学講座に通い、それが高じて東京外国語大学でインドネシア語を専攻。それに飽き足らず卒業後にジョグジャカルタのガジャマダ大学へ。1997年アジア経済危機、それに続く1998年のスハルト大統領失脚の混乱時にも日本に帰らず、現在に至る。家族構成はブギス人の夫、小学生の娘、犬3匹。

それでは、以下本文です。

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私のなかでは、インドネシアが明確にコロナ禍に入ったのは学校が全面休校になりオフラインでの授業に切り替わった2020年3月ごろだと認識しています。私の仕事もそれまでは対面での会議やセミナー通訳が多かったのですが、3月末を境に対面式も出張もほぼなくなりました。今までとは打って変わっての生活に最初は躊躇こそしたものの、「天然」な性格が幸いしたのか、今もそれほど苦痛ではありません。

現在も小学1年生の娘のオンライン授業(午前7時半から午後1時過ぎまで)に付き添いつつ、家事と仕事をこなしているので疲弊する日はありますが、その都度近場の自然が多いところへ行ってリフレッシュしたり、お買い物サイトで散財したり、中部ジャワ・ジョグジャ震災(2006年)以降続けている趣味の「ひとりNGO活動」をするなどして日々暮らしています。

今年(2021年)の6月末ごろからデルタ株を中心とした新たなパンデミックがインドネシアの都市部を中心に発生し、ジョグジャもあっという間にその波に飲まれてしまいました。6月初めに友だちとコーヒーを飲んだときに「インドがひどい状況になっているから、もしかしてこうしてあなたと会ってコーヒーを飲んでおしゃべりできるのも長らくお預けになるかもね」と何気なく言った言葉が残念ながら本当になってしまったわけです。

楽観的引きこもり生活をするなか、高齢者の優先的ワクチン接種が進んでいき、「自分たちはどうするのか」という話が友人たちとの間で持ち上がってきました。私はワクチン否定派ではないので、しかるべき時に接種するつもりでいましたが、アプリでの登録後も何の音沙汰もなく、まあ来年ぐらいには接種できるかな、と「天然」を発揮していました。

日本に一時帰国してファイザーを接種する方法もありましたが、1ヵ月以上家を空けなければならず、その間の娘の授業はどうするのか、噂では航空運賃が倍になっているらしいし、と考えていくと、その選択肢は私にはないなと思っていました。そんな感じで過ごしていた時、珍しく「出張業務」の打診が入りました。

これを書いている現時点(8月末)でも、国内移動で飛行機を利用する場合、最低1回のワクチン接種はマストになっており、さらに抗原検査またはPCR検査を受けなければならないことになっています。国内(とくに地方)のワクチンは接種対象者人口に比較してごく限られた数しか供給がないので、争奪戦の様相を呈しています。もちろん、先の出張業務も状況によりオンラインへ切り替えとなる可能性はあるものの、出張が実施となった場合にはせっかくいただいたオファーに応えられなくなってしまう、という状況が発生したのです。

そこで気持ちを切り替えて、自分もワクチン接種争奪戦に参戦すべく、積極的にワクチン接種情報をあたってみました。

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7月の時点ではどこの接種会場もワクチンの在庫を切らしていました。ワクチン接種を行っていた各病院、検査機関(ラボ)、保健センター(Puskesmas)のインスタグラムを手あたり次第フォローし、KTP(住民登録証)がジョグジャカルタ市なので市の運営しているJogja Smart Service(JSS)にも登録をし、居住者であれば受けられるプログラムに参加できるかもしれない、ということで居住地のあるスレマン県にも登録を行いました。毎日インスタ、webサイト、JSSをこまめにチェックしていましたが、やはり最初はどこもワクチン接種プログラムを実施していませんでした。

8月上旬にルフット・パンジャイタン海洋・投資担当調整大臣がジョグジャを訪れ、ジョグジャにおけるワクチン接種の強化を推進するという発言があったため、「これでワクチンがジョグジャに送られてくるかも!」という直感が働き、アップデートされる情報に目を光らせていました。幸運にも直感は当たり、次々に新規のワクチン接種プログラムが発表されていきました。

JSSの主なコンテンツ

ジョグジャカルタ市で8月13日午後から実施される500人分の接種プログラムを見つけ、携帯のJSSアプリから必要事項を記載して登録し、最後の「OK」をクリックしてワクワクしていたところ、非情にも「あなたのKTPは市民ではありません。このプログラムは市民専用です」と表示されてしまいました。何度も登録を試みましたが結果は同じで、そのうち残り400人が350人、200人、というようにみるみる減っていき、約20分で「0」になってしまいました。

「外国人のKTPははじかれることがある」ということを事前に入国管理事務所の知り合いから情報を得ていたので、ああこのことかと妙に納得しました。

登録できるという喜びもつかの間…(上)、「市民ではない」と出た時(下)のショックたるや・・・。ここでEmangnya saya orang kampung? というギャグを作る。

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