インドネシアの道路で、パトカーが派手にサイレンを鳴らして通り過ぎ、その後をハーレーダビッドソンなどの大型バイクに乗った集団が続いていく・・・といった光景に出くわしたことはないでしょうか?
コンフォイ(konvoi)と呼ばれる集団ツーリングですね。バイク使用者の多いインドネシアには実に多種多様なバイク愛好家たちのクラブが存在します。
この半年ほどで、ウォノソボで急速に拡大しているモーターサイクルクラブがあり、主要メンバーには著名な実業家や地方議会議員なども名を連ねています。ジャカルタから始まり、全国に支部を増やし続けるクラブとは、一体どんなものなのでしょうか。
●その名はBADERHOOD
去る1月16日、ガルン郡のレンコン村にて約40名のバイカーたちが集まりました。この日はバーダーフッド(BADERHOOD)の設立1周年記念日。本部と各地の支部が一斉に記念行事を執り行ったのです。ウォノソボ支部は環境保護の一環として植樹をしました。
(出所)公式YouTubeチャンネルより。https://youtu.be/lW3c4uTvQUA
2020年1月16日、インドネシアがコロナ禍に巻き込まれる少し前。ジャカルタ近郊の南タンゲランにて、新たなモーターサイクルクラブとして設立されたのがバーダーフッドです。
Baderとはブタウィやスンダの言葉であり、インドネシア語ではBandel(頑固な、いたずらな、やんちゃな、といった意味)に相当するそうです。困難を乗り越えていけるような強さ、簡単に諦めない姿勢を象徴したとされています。
大きな特徴は2つ。会員を40歳以上、またはほどなく40歳となる年齢に限定したこと。成熟した大人の振る舞いや考え方ができる人たちの集まりとし、若い世代特有のいざこざが起こらないようにする目的です。また、バイクのローンを完済し終わるのが大体この年齢であることも理由の一つだと言います。真のバイク人生はそこから始まるのだとか。
そして、バイクの車種を自由としたこと。二輪車であればなんでもよく、これが間口を広げることとなりました。他のモーターサイクルクラブでは、特定の車種、メーカー、または生産国などに限定した集まりとなることがほとんどです。嗜好を同じくする者同士が集まり、趣味を共有しますが、バーダーフッドはバイカー 同士の繋がりを重視しました。設立から半年で会員は3,000人を超え、今なお広がり続けています。
ツーリングのほか、チャリティなどの慈善事業などを開催していましたが、コロナ禍のために活動規模は縮小されました。
支部はTKP(Tempat Kumpul Perwilayah: 地域集合所)と呼ばれ、最低でも5人以上、県単位での地域を活動範囲として立ち上げられます。ウォノソボTKPは2020年8月頃から活動を始めました。会員の中からPIC(Perso In Charge)という中核メンバーが選ばれ、運営に携わります。一つのクラブでありながら、活動内容はそれぞれの支部に任されている形です。新しく支部を立ち上げる際には近隣の支部が手伝ってセレモニーを行い、そうして輪が広がっていく仕組みになっています。
支部同士の横の繋がりも大切にします。たとえば、A地区のバイカーがツーリング中にB地区でバイクが故障して困ってしまった、といった場合には、面識があってもなくてもB地区のメンバーが助ける、というような相互扶助をモットーとしているのです。交流のため、遠く離れたところの支部がツーリング旅行に行き来することもあります。
(以下に続く)
- インドネシアにおけるバイクとは
- コロナ禍での活動はどうなるか
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