ロンボク島に嫁いでから8年が経過し、文化や価値観の違いに戸惑うこともだんだん少なくなってきました。
しかし、先日、水疱瘡になった生徒をめぐって私は久しぶりに歯がゆい思いをしました。今回はそのときの話をシェアしますね。舞台は私が7月から日本語を教えている地元の観光専門高校です。
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高校の期末テスト期間まであと一週間をきったある日、生徒のN君から「今日のオンライン授業には出席したいです。だけど僕はいま病気です」とメッセージと、湿疹だらけの顔・腕・腹部の写真を送ってきました。全身の湿疹が痛くて眠れない、食べ物もほとんど食べられないと訴えます。くわしく話をきくと、素人目には水疱瘡のように思えました。
もしも水疱瘡だとしたら大変です。大人の水疱瘡は重症化することもあります。それに、私たちの地域には水疱瘡の予防接種を受けていない人が一定数います。N君の近所や同じ学校の生徒たちにもいるでしょう。仮にN君が重症化しなくても、ほかの誰かが重症化しないとも限りません。
N君は病院には行っておらず、呪術医による治療を2回受けただけでした。しかも、N君は高校進学を機に実家のある離島を出て、ロンボク本島に住む祖母の家に身を寄せていました。「おばあちゃんだったら頼りにするのは呪術医だろうなぁ」。私は頭を抱えました。
N君に病院での受診を促すと、症状がよくなるなら行きたいけど病院までいく気力体力がないと言います。今は、トイレ以外は立ち上がれず礼拝もできないのだそう。
うーむ、ならば、せめて病名を確定させたい。医者に往診に来てもらえないかしら。
「わかったから待ってて」と私は一番近くの病院へ行きました。N君の写真を見せつつ事情を話すと、水疱瘡だろうと診断されました。ですが、私が保護者ではなかったこともあり、薬は処方していただけませんでした。医師は、校長先生に報告し患者本人が来られるように車などを手配してもらっては、と私に提案しました。
本文とは直接関係ありませんが、写真は小学校での予防接種風景です。公衆衛生がしっかり進めばいいなと思います。
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