よりどりインドネシア

2020年11月22日号 vol.82

ジャカルタ寸景(3):路上で読み取るジャカルタっ子気質(横山裕一)

2020年11月22日 19:16 by Matsui-Glocal

1970年代の日本映画「トラック野郎」シリーズに登場する、トラックの車体に施された名文句かのように、ジャカルタの乗り合いバスなどの公共交通機関には、車体などに言葉遊びも含めた名文句が書かれているのによく出くわす。そこには、インドネシア人ならではのユニークだけでなく、世相も伺える。

Titipan Nipon

ベモ(西ジャカルタ・コタ地区にて撮影2014年11月)

乗り合いミニバス「ベモ」は三輪自転車タクシーの「ベチャ」の自動車版、「チャ・トル」(Becak Motor)の略称から名付けられている。1960年代、日本から輸入された三輪自動車ダイハツ・ミゼットが主にベモとして使用された。まさに「Titipan Nipon」(日本からの預かり物)。

最近でこそ滅多に見かけなくなったが、写真撮影当時は2014年。道端で手を油まみれにしてエンジンを修理しながら「直せばまだまだ使えるよ」と満面の笑みで応える運転手。50年余り維持させる「技術」に感心するとともに、日本人としてありがたくも感じられる。

Kok Gitu Sih..!

2020年前半に姿を消したコパジャやメトロミニといったミニバスや、アンコット(乗り合いミニバス)の運転手はチンピラとまではいかないまでも若干気の荒いお兄さんやおじさんが多い。それだけに車体に施された言葉も彼らのストレートな感情や人情味溢れたものがよく見かけられる。

2010年代、インドネシア経済は大きく成長するが、運転手らのような低所得者層にとっては好景気感はなく、むしろ物価上昇に苦労した。貧富格差の広がりに「Kok Gitu Sih..!」(なんでこうなるの!)と言いたくなるのだろう。一方、バスの乗客にしてみれば、一向に進まない大渋滞に「なんでこうなるの!」である。

Pulang Malu, Ga’ Pulang Rindu

「(田舎に)帰れば気恥ずかしいが、帰らないと恋しさが募る」の意味。映画「男はつらいよ」の寅さんを彷彿とさせる、望郷の念がにじみ出ている。家族や故郷をこよなく大切に思うインドネシア人の心情がよくわかる。

2020年のレバラン(断食明け大祭)前後、新型コロナ感染拡大防止のため政府が帰省を禁止したにもかかわらず、多数の帰省者があったことも致し方ないかとまで思えてくる。残念なのは、レバラン後、また同じく多くの帰省者があった10月末の大型連休後、それぞれ約2週間たった頃から新規感染者数が増加していることだ。

(以下に続く)

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