よりどりインドネシア

2020年08月23日号 vol.76

ジャカルタ寸景:踏切の番人たち(横山裕一)

2020年08月22日 15:54 by Matsui-Glocal

●高層ビルのかたわらで

中央ジャカルタ・ブンドゥガンヒリル地区西部のプジョンポガン通り周辺は、国民協議会(MPR)・国会(DPR)議事堂近くの、ジャカルタ中心部の一角である。しかし、同地区東部のスディルマン通り周辺の高層ビルが立ち並ぶ地域とは対照的に、下町のような風景が今も多く残る。

とくに、プジョンポガン通りと国鉄線路に挟まれた幅約50メートルの地域には、決して裕福とは言えない住宅が線路沿いに数百メートルにわたって密集している。線路の反対側も同様だ。高層ビルを背景に所狭しと立ち並ぶ家並みは、ジャカルタの貧富の格差を象徴しているかのようだ。

線路にせり出したような両側の家々の窓には洗濯物が干されている。その量を見ると、かなり多くの住人がいることがうかがい知れる。線路脇に立つと人の話し声や食べ物の匂いがし、確かな生活の営みを感じる。

国鉄の線路は、すぐ近くの中央ジャカルタ・タナアバン駅から新興住宅地が開発された南タンゲラン方面への首都圏鉄道や、さらに西方のバンテン州セランやチレゴンへの長距離列車用のものだ。電車が頻繁に住宅間際をすり抜けていく。

ところかまわず線路を横切る人の姿も多く見かける一方、車も通れないほどの狭さながら生活道を結ぶ踏切もある。バイクやカキリマ(リヤカー式の屋台)などが主な通行者で、手作りの遮断機は上げられたまま。そして、遮断機代わりに往来する人々の安全の手助けをしていたのが、白いペチ(イスラム帽)をかぶった一人の老人だった。

 

 

 

 

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