よりどりインドネシア

2020年06月07日号 vol.71

ロンボクだより(32):ジン(精霊)と信仰(岡本みどり)

2020年06月07日 22:52 by Matsui-Glocal
2020年06月07日 22:52 by Matsui-Glocal

みなさん、こんにちは。

今回は精霊の話です。実は前回まじない師について執筆したあと、まじないのことで前から気になっていた疑問が私のなかで再浮上してきました。今回は、その疑問に関するロンボクの人の考えを書いていきます。

といっても、このご時世、あまり積極的に人に会いに行ける状況でもなく、こちらは日本ほどに人々のネット環境がいいわけでもないので、ネット上で会うこともいたしません。

よって、今回の内容はたまたま会えた二人から意見を聞いたものです。これがロンボク島のみんなの考え方ということではなく、そういう考えの人もいるという程度にとらえていただけたらと思います。

それでは、はじまりはじまり。

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たしか、去年の年末ごろだったでしょうか。娘の通う幼稚園で、ママ友(ジャワ島出身)がロンボク島の人々のジン(精霊)に対する扱いに困惑しているという話を聞きました

ロンボク島では、海や山などにジンがいると信じられており、海や山にいって発熱したり具合が悪くなったりしたら、ジンに当たった証拠だと考えられています。ですので、海や山へいった翌日に熱を出すと、病院より先にまじない師のところへいってお祓いをしてもらいます。このお祓いでは、イスラム教徒の場合はコーランの一節を用いることが多いです。

しかし、ママ友によると「それはイスラム教ではNG」らしいのです。コーランはジンのために使うべきものではない、と。

「そんなこと言われても、ここの人たちみんなそうしてるよ」と思いましたが、イスラム教系の学校を卒業している彼女のほうが間違っている、と断言することもできないので、私は、いつか誰かに真相を尋ねたい、と機会をうかがっていました。

私たちの村のお墓から見える景色です。遠くに見えるのはリンジャニ山。こんな景色が広がっていたら、ヤシの畑やリンジャニ山にジンがいると信じるのはわかる気がします。

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