よりどりインドネシア

2020年05月07日号 vol.69

インドネシアと新型コロナウィルス対策(5):インドネシア経済への影響と政府の新型コロナウィルス対策(松井和久)

2020年05月16日 02:03 by Matsui-Glocal

●インドネシア国内の感染推移状況は日本と似ている

まず初めに、2020年4月23日発行の前号(『よりどりインドネシア』第68号)以降、2020年5月7日までの、インドネシア国内における新型コロナウィルスの感染状況について、抑えておきたいと思います。

2020年5月6日西インドネシア時間午後4時時点での感染者数は1万2,438人、死者895人、治癒者2,317人となっています。2020年4月23日時点でのデータと比べると、感染者数が4,663人増、死者が248人増、治癒者が1,357人増となっています。

この数字を見る限りは、当初懸念されたような、感染爆発という事態には至っていないように見えます。インドネシアの感染状況の推移は、日本のそれによく似ています。4月23日~5月6日において、日本では感染者数が3,370人増(1万1,772人→1万5192人)でした。

同期間における東京での感染者数は1,275人増(3,452人→4,727人)、ジャカルタは1,173人増(3,514人→4,687人)で、両者ともほぼ同じ感染者数とその推移を見せています。

インドネシアも日本と同様、都市閉鎖(ロックダウン)を正式には採っていません。基本的には、住民に自粛を求め、行動変容を促している点も同様です。ただし、インドネシアのほうが治安当局による監視が強く、違反者に対する処罰もちらつかせている点がやや異なります。

もう一つ、インドネシアが日本と異なるのは、感染者数に占める死者の比率が高いことです。5月6日時点で、日本では感染者数1万5,192人のうち死者数は543人でその比率は3.6%であるのに対して、インドネシアでは、感染者数1万2,438人に対して死者数が895人であり、その比率は7.2%と、日本の約2倍となっています。とりわけ、インドネシアにおいては、前号・前々号で指摘したように、死者のなかに医療従事者が40名以上含まれていることが特筆されます。

また、検査キットや検査人員の不足などを理由に、PCR検査や抗体検査の受診者数がかなり少ないことが問題視されてきました。それらの検査を受けられないまま、亡くなった方もかなりいることが報じられています。それらの方は、死亡後にPCR検査を行って陽性だった場合は感染者数に含められるものの、検査を行わない場合には、上記のインドネシア保健省による公式発表での数字にはカウントされていません。

検査数を増やすべく、インドネシア政府は、民間企業の力も借りて、PCR検査や抗体検査のキットを海外から調達し、全国各地へ配布する努力を続けており、その精度や人材確保の面で不安はあるものの、地方でも以前よりは検査が行われている様子です。

ポチョンと呼ばれるキョンシー(死体妖怪)のような恰好をして、村人に夜間自宅待機を呼びかける。中ジャワ州スコハルジョ県にて。(出所)https://www.straitstimes.com/asia/east-asia/jokowi-pushes-for-greater-transparency-in-countrys-covid-19-fight

(以下へ続く)

  • 断食月の帰省禁止令は出たが・・・
  • 新型コロナウィルス感染拡大のインドネシア経済への影響
  • 懸念される失業と貧困の急増
  • 政府の新型コロナウィルス対策特別費
  • 弱者対策のプログラム
  • 過去の経験を活かせるか

 

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