よりどりインドネシア

2020年04月08日号 vol.67

ラサ・サヤン(3) ~インドネシアのキリスト教~(石川礼子)

2020年04月23日 00:07 by Matsui-Glocal

私たち家族はキリスト教信者です。

ご存知のように、インドネシア政府は、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、儒教、そしてキリスト・カトリック教とキリスト・プロテスタント教の6つを宗教として認めています。

全人口の87%を占めるイスラム教徒に対し、プロテスタント教徒は7%で2番目に多く、カトリック教徒は3%、ヒンドゥー教徒が2%、仏教徒が1%という割合です。ただし、世界的に見ると、カトリック教徒のほうがプロテスタント教徒の3倍以上の10.8億人となっています。

長女は小学校からカトリック系の学校に通っていたため、自然とカトリック教に入信しましたが、主人、次女、三女は、私たち家族がすでに8年間通っている「インドネシア・ベテル教会」で5年前にプロテスタント教に入信しました。

私はというと、実は一昨年、初めて洗礼を受けました。しかも、ジャカルタではなく、実家のある浜松市の教会で受洗し、正式なプロテスタント教徒となってまだ1年半です。

なぜ、毎週通う教会ではなく、浜松で洗礼を受けたのかについては、後ほどお話ししますが、洗礼を受けると何か変わるのかというと、正直、何も変わりません。ただ、聖餐式でパンとぶどう酒(ノンアルコール)に預かれるというくらいです。

洗礼を受けていない人は、基本的にパンとぶどう酒を受け取れません。ただ、自分でも驚いたのですが、洗礼を受けた後、しっかり信仰していこうという自覚が自然と内から出るようになり、説教の下手な牧師さんのセッションでも、以前のように白けた気持ちにはならなくなりました。それに何より家族で同じ信仰が持てたという喜びがあります。

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私たち夫婦は8年ほど前までは無宗教でした。私は(クリスマスを祝い、年末にお寺の除夜の鐘を聞き、初詣に神社に行くような)普通の日本人でしたし、主人は、出身地のスマトラ島・パレンバンで小中高とカトリック校に通ったにもかかわらず、まるで自分が教祖であるかのような傲慢さのある人間でした。二人の出会いの地、ニュージーランド・オークランドからインドネシアに移ってからも「宗教」の二文字は私たちの中に入る余地はありませんでした。

インドネシアには宗教省という省があり、国の祝祭日も宗教の祭り事にしたがって決められています。宗教省は国内の宗教活動を管理している省ですが、年間の国の祝祭日を確定するのも宗教省の管轄です。

インドネシア人の身分証明書であるKTP(住民登録証)には信仰する宗教欄があり、6つの宗教のいずれかを記載しなければなりません。「無宗教」とは書けません。ですから、主人はKTP上「仏教徒」になっていました。

事実、義理の両親は仏教徒で、旧正月(春節)はもとより、中秋節には月餅を食べ、端午節には粽(ちまき)を食べ(食べてばかりですが・・・)祝うなど、中国のしきたりを守っています。

先日も、義母は清明節を祝おうと、義父や先祖が眠るバンカ島へ飛びましたが、噂でジャカルタが新型コロナウィルスの感染拡大でロックダウンされるのではないかと懸念して、3日で切り上げて戻ってきました。清明節は、日本のお盆のような祭事で、中国の太陰暦の最初の日に行われ、晩春の到来を示します。同時に先祖に敬意を払う時期でもあり、お墓を綺麗にして、食べ物やお茶、神酒をお供えし、お線香をあげて、先祖に感謝します。

15年前に亡くなった義父は、発病してから周りの勧めもあり、義母とともにプロテスタント教に入信しました。義父が療養生活を送っていた私の家や、末期に入院していた病室に牧師さんを招き、皆で回復を祈りましたが、癌には勝てませんでした。

主人は7人兄弟の5番目で、彼の兄弟姉妹にはプロテスタント教徒もいますし、カトリック教徒もいます。さすがにイスラム教に改宗した人はいません。

華人でイスラム教に入信する人はよほどの理由があったのだろうという理解です。たとえば、好きになった人がイスラム教徒で、改宗しなければ結婚を認めてもらえなかったとか、商売のため便宜上とか。なかにはイスラム教を学び、真に信仰するようになったという人もいるかもしれませんが、稀であることは確かです。そういう意味においても宗教はインドネシア人のアイデンティティーを示すものです。

2018年10月にカトリック教会の「隠れキリシタン」巡礼ツアーに主人と参加し、長崎の五島列島へ旅しました。その際には、カトリック教会以外に天理教会本部を訪問したり、東京ジャーミイ(日本最大のイスラム教寺院)の見学ツアーに行ったりしました。

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