よりどりインドネシア

2020年03月10日号 vol.65

ラサ・サヤン(1) ~ジャカルタ在住28年を振り返って~(石川礼子)

2020年03月10日 20:54 by Matsui-Glocal

皆様、はじめまして。

私はジャカルタ在住28年になる、石川礼子と申します。

タイトルの「ラサ・サヤン」(Rasa Sayang)とは、Google翻訳だと「愛情」と出てきますが、愛情というよりは「愛(いと)しい気持ち」という方がぴったりくる気がします。

「ラサ・サヤン」という同名の民謡があるのをご存知ですか。この民謡は、インドネシア、マレーシア、そしてシンガポールで広く知られています。

この歌には裏話があります。2007年にマレーシア政府が同歌を観光のプロモーションに使ったことに端を発し、インドネシアのマルク州知事が「この歌は先祖代々、マルク州で歌われ続けてきた歌だ」と主張しました。それに対し、マレーシアは、同歌は15世紀から存在するマレーシアのPantunという伝統的な四行詩を踏んでいる、と主張します。

「我々がオリジナルだ」と反論するインドネシアは、1962年に中部ジャワのソロ市で、最初にこの歌が録音されたという証拠を提示、それ以前にも1954年にインドネシアの映画監督ウスマル・イスマイル(Usmar Ismail)がこの歌を映画の中で使っていることが判明しました。

結局、マレーシア政府は(渋々・・・かどうか分かりませんが)、「この歌はインドネシアとマレーシア両国のものである」と和解を求める発表をしました。

もともとインドネシア語は、マラッカ海峡周辺で用いられていた海上交易のための共通語だったマレー語がベースになっているため、こんな議論が起こるのでしょう。

一般に子どもの歌として知られ、軽やかなテンポの曲「ラサ・サヤン」ですが、最近では、私の大好きな小野リサさんがボサノバ風に歌っていますので、是非聴いてみてください。

そのラサ・サヤンの歌詞を私なりに和訳してみましたので、ご紹介します。

 

ラサ・サヤン(作者不明)

 

愛しい、愛しい

遠くからあの娘を見てごらん

愛しい気持ち

 

チェンぺダック(クワ科のフルーツ)が垣根を越えた

棒で取ってくださいな

私はまだ若い学び人

間違いあれば正してください

 

パンダン島は遥かに遠く

三つの巓はダイク山

からだは土の中で砕けても

良い行いは忘れられない

 

二、三匹の猫が走る

縞模様の猫はどこ

二、三匹の猫は見つけたけど

あの娘はいない

 

ゴールデンバナナは船に積まれ

熟した種が一粒残る

黄金の借金は払えるが

感謝のこころは一生残る

(礼子意訳)

 

1992年2月、丁子タバコの匂いと、人々の喧騒が熱気のヴェールに包まれたようなジャカルタ・スカルノハッタ空港に、私は降り立ちました。28歳だった私はニュージーランド留学中に知り合い、遠距離も含め5年間交際した2歳年下の華人系インドネシア人の主人と結婚するために、一度しか訪れたことのないジャカルタへ、期待半分、不安半分でやってきました。

1992年3月にジャカルタで挙式

あれから28年の年月が経ち、三人の娘たちは、それぞれの反抗期を経ながらもすくすくと成長し、すでに三女がインドネシア共和国の選挙権を得る年齢(17歳)を過ぎました。私自身は2013年まで日系企業で働き、2014年から現在までフリーランス通訳として活動しています。

この28年間、様々なことがありました・・・。あり過ぎるほどに・・・。

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