青年海外協力隊の栄養士隊員としてロンボク島に派遣された当初、私は張り切って現地語を習得しようとしていました。現地の人々とより深くコミュニケーションするためには欠かせないと思ったからです。
でも、まだインドネシア語もおぼつかなかったので、結局インドネシア語の学習に力をいれ、ササッ語はごく簡単な言葉だけを話すにとどまりました。
その後、活動地から車で1時間くらい離れたところに嫁ぎました。
嫁ぎ先のササッ語は、私の活動地のササッ語とは単語が違っていました。定番の「どう?元気?」ですら違うのです。結婚と同時に改宗したイスラム教のお祈りの言葉なども覚えなければならず、私の頭のなかはもうパンク状態!
日常生活はインドネシア語でなんとかなっていたこともあり、私は嫁ぎ先のササッ語を覚えることを放棄し、そのまま今までやってきました。
ところが先日、ちょっとした事件が起こりました。幼稚園での出来事でした。
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朝、娘を登園させてしばらく様子をみていると、あるママ友がそわそわしていました。このママ友を仮にAさんと呼ぶことにします。
Aさんはお手洗いに行きたかったのですが、あいにく鍵がかかっていました。普段なら用務員がもう鍵を開けている時間なのですが、この日は忘れていたのでしょうね。
幼稚園でかけっこをする子どもたち ※本文とは関係ありません
我慢はよくないということで、園内のクラスにお邪魔して、先生に鍵を借りました。しかし、鍵が開きません。なんとか鍵穴に鍵が入るものの、右にも左にも回らないのです。
いやー、困った・・・。
そうこうしていたら、男の子がズボンを脱いでやってきました。この子を仮にB君と呼びましょう。B君もまたトイレに行きたいようでした。
「ちょっと待っててね、鍵があかないんだ」
B君に話しかけながら、Aさんと一緒に大人二人で、やいのやいのと言いながら鍵を回すのですが、どうにもこうにも開きません。
「ごめんね、もう少し待ってね」
そう言ってB君をもう一度振り返ったら、廊下の上で、すでにおもらしをしていました。しかも大きい方でした・・・。
あわてて先生に来ていただき、一通りB君の汚物を片付け、B君自身もきれいに洗いました。次いで、Aさんもお手洗いへいきました。
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ひと段落つき、Aさんと、いやはや大変だったね、と話をしました。
B君に申し訳ないことをした、きっと恥ずかしい思いをしているだろう。でも、言ってくれたら、幼稚園の裏手で用を足すように促せたのにね・・・。
私がそういうと、Aさんは私が思いもよらぬことを言いました。
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