よりどりインドネシア

2020年02月24日号 vol.64

いんどねしあ風土記(11):消えゆく「街の便利な暴れん坊」ミニバス・コパジャ物語 〜ジャカルタ首都特別州~(横山裕一)

2020年02月24日 22:29 by Matsui-Glocal

「15分も待てば必ず来たミニバスのコパジャ。最近、すっかり数を減らしてしまい、小一時間に一台しか来ない同ルートのトランスジャカルタより少なくなってしまったようだ…」

首都圏鉄道やジャカルタ特別州営バスの整備強化、それにMRTの開通などで、首都ジャカルタの公共交通網整備は他国に遅れをとりながらも進みつつある。一方で、住民たちが慣れ親しんだミニバス、コパジャは役目を終え、まさに消え去ろうとしている。

●「街の便利な暴れん坊」コパジャ

コパジャ(KOPAJA)とは、ミニバス運営会社であるジャカルタ輸送協同組合(Koperasi Angkutan Jakarta)の略称で、運行されるバスの通称にもなっている。バスは座席数20席余りのマイクロバス程度の大きさで、白と緑色のツートーンカラーがシンボル。1971年運行が開始され、運行路線は最大時で20路線以上、稼働するバスは1400台以上あった。

コパジャより古い運行会社で、オレンジ色と青色のツートーンカラーのバスを使用した最大手のメトロミニ(1962年創業)があるが、両社の目立つカラーリングのバスがジャカルタを縦横無尽に走る姿は、ジャカルタならではの風景として定着してきた。

バス停はなく、路線のルート上であればどこでも乗降車できる便利なシステム。運賃も5年前30%余り値上がりしたが、2020年現在で4000ルピア(約30円)。距離に関係なく一律のため、安価で便利、しかも運行時間は午前4時過ぎから深夜12時近くまでと長時間にわたり、バスの稼働台数も多いことから、ジャカルタや周辺地域では、貴重な庶民の交通手段として50年近く利用されてきた。

しかしその一方で、車両は20年以上経ったものが殆どのため老朽化が激しいうえ、冷房はなく、窓と扉は開けっぱなし。車内はサビだらけ、環境的にはよくない。とくに古い車両だと故障してエンジンがかからなくなることもたまにあり、乗客は後続のバスに乗り換えを余儀なくされた。

老朽化の激しいコパジャの車内。

大通りで故障したため人力で移動(2017年)

カバーが外れむき出しのクラッチレバー。

ガラスが割れた窓は雨天時、板で応急措置。

さらに特筆すべきは運転手の「柄の悪さ」だ。運転は概ね荒く、とくに立っている乗客は急ブレーキ、急ハンドル操作に備える必要がある。渋滞時は反対車線が空いていれば逆走して前へ進み、信号手前で車列に割り込む。さらに渋滞が酷いとルートから外れて空いている住宅街などの抜け道を疾走する。

このため、タクシーなどよりも確実に早く目的地に着くことができるが、事故のリスクは高くなる。バスにぶつけられそうになったバイクや乗用車の運転手とコパジャの運転手が言い合いになることもよくある。

(以下へ続く)

  • 事故も代名詞のミニバス
  • ミニバスならではの人間模様
  • トランスジャカルタの整備強化
  • 「お上のすることだからどうしようもない」
  • 消えゆくコパジャ

 

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