よりどりインドネシア

2020年01月08日号 vol.61

南スラウェシの木造船、現状と課題 ~タナベル、ガレソン、パンダラ、パオテレ港を廻って~(脇田清之)

2020年01月08日 14:44 by Matsui-Glocal

南スラウェシの伝統的な木造船ピニシ(Pinisi)とその造船工法が2017年12月7日、国連教育科学文化機関(UNESCO)の人類の無形文化遺産に登録され、脚光を浴びました。今から約2年前のことです。

しかし今、肝心の木材資源の不足に直面しています。

南スラウェシ州の南端、ブルクンバ(Bulukumba)県のタナベル(Tanaberu)における木造船建造風景(2019年11月16日)

木造船ピニシとは19世紀中頃から1970年頃まで、南スラウェシで建造され活躍した、2本のマスト、7枚の帆を備えた優雅な帆船のことですが、地元政府が観光PRに使っていることもあり、いまや「ピニシ」は南スラウェシで建造する木造船全般を指すブランド名になった感があります。

うるさいことは言わないで、南スラウェシが繁盛すればけっこうな話ではないでしょうか。タナベルの海岸には観光バスが走り、お洒落な喫茶店もできていました(次の写真)。

約1年前にオープンした海辺の喫茶店 "CAFE DAN RESTO PINISI GARDEN" (Jl. Poros Bira Bulukumba, Tanah Beru, Bonto Bahari, Kabupaten Bulukumba)。大きなピニシのレプリカを配置し、海に張り出したウッドデッキは、マカッサルの Hotel Pantai Gapura とよく似ています。

しかし一方、華々しいニュースとともに、木造船産業をめぐる様々な難題も現地新聞などで報道されています。

繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics: FRP)を使ったFRP船との競合による木造船の受注難、木造船を建造するために必要な木材の入手難。海岸には、建造中の船が並んでいますが、材料待ちも多いとのことでした。

それと後継者難。若い人たちは都会に憧れますが、無形文化遺産登録を期に、若い人たちが地元に留まり、さらには他の地域からも人を呼び込んで欲しいと思います。

こうした様々な問題に、現場ではどう対処しているのでしょうか。

2019年11月中旬、筆者は、駆け足で南スラウェシのブルクンバ県のタナベル(Tanaberu)、タカラール県のガレソン(Galesong)、造船用の木材を植林するタカラール県南部パンダラ(Pandala)のプランテーション、マカッサルのパオテレ(Paotere)港を廻って来ました。

(以下へ続く)

  • タナベル(Tanaberu)にて
  • ガレソン(Galesong)にて
  • タカラール県パンダラ(Pandala)にて
  • マカッサルのパオテレ(Paotere)港にて
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