広大な国土に、200や300を超える民族集団があるとされるインドネシア。そのため、各地の食文化は実に多様で、旅行者の楽しみの一つでもあります。地域特有の名物料理はクリネール(kuliner)と呼ばれ、今やネットで検索すると山のような情報を得ることができます。
そんななかで、ウォノソボのクリネールは数年前からある変化を見せています。ウォノソボから世界を見据えた試みを、ご紹介します。
●その名はミー・オンクロック
ジャワというと、ジャワ料理と一括りにされてしまいがちですが、その中身はまた多彩なもの。同じジャワでも、地域ごとに異なる味や食文化が根付いています。ウォノソボでは、クリネールとして最も知名度が高いのはミー・オンクロック(Mie Ongklok)と呼ばれるあんかけ麺です。
キャベツやニラと一緒に茹でた麺に、エビと香辛料をベースにした甘辛あんをかけ、さらにピーナッツソースを加える。これに、牛肉のサテや、テンペを衣で揚げたテンペ・クムール(tempe kemul)を付け合わせにしていただくのが、一般的なスタイルです。
エビの風味と野菜のシャキシャキ感が相まって、私も好きな料理の一つ。タピオカ粉でとろみをつけたあんは、時期によっては日中でも肌寒くなるウォノソボに合っているようです。
ちなみに名前のオンクロックとは、麺を湯切りする際に用いる縦長のザルのこと。あれをチャッチャッとやる様子から付いた名前だそうです。
街中にはミー・オンクロックを扱う食堂や屋台が多くあり、とくに名店と呼ばれる店は常に満席で混み合う人気ぶりです。ウォノソボに来たらまずこれを食べなければ始まらない、という名物として地域のアイコンになっています。
さて、このミー・オンクロックですが、今はこんな風にインスタント麺として発売されています。
オリジナル、グリーンチリ味、チーズ味など、バリエーションも豊富。マス・デスタ(Mas Desta デスタさん)印のミー・オンクロックとして土産物屋やスーパーに並んでいます。
いちミー・オンクロックファンとして、この商品が発売された当初は衝撃でした。地域の名物がこんな風にインスタント化されるなんて!しかも、食べてみるとちゃんと美味しい。
どうやってこれを開発しようと思ったのでしょうか?今回その誕生秘話を伺うことができました!
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- 届けられないもどかしさ
- インスタント麺で地域振興
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