よりどりインドネシア

2019年07月22日号 vol.50

ジョコウィとプラボウォの和解? ~うやむやで巧みな政治的幕引きの意味と背景~(松井和久)

2019年07月22日 22:15 by Matsui-Glocal

誹謗中傷やフェイク情報が飛び交う熾烈な大統領選挙を戦った、現職のジョコ・ウィドド(ジョコウィ)=アミン組と挑戦者のプラボウォ=サンディ組。この醜い選挙戦の結果、インドネシア社会には深い分断が刻み込まれてしまったと感じていました。

総選挙委員会によるジョコウィ勝利の確定結果の発表後も、プラボウォ側はそれを認めず、ジョコウィ側の不正を訴えて憲法裁判所へ不服申立を行います。その間にジャカルタでは暴動が起こり、政府高官の暗殺計画さえ明らかになりました。政権転覆を企てた可能性さえありました。

筆者は、こんな状況で、インドネシアは益々分断されていくのではないか、と心配していましたが、事態は思いもかけない方向へ動きました。6月27日、憲法裁判所がプラボウォ側から出された不服申立をすべて却下し、ジョコウィ=アミン組勝利が確定した後、7月13日、激しく対立していたはずのジョコウィとプラボウォが仲よくMRTに乗り(次写真)、FXのサテハウス・スナヤンで食事をしているではありませんか。

(出所)https://news.okezone.com/read/2019/07/13/605/2078440/rekonsiliasi-mrt-jokowi-prabowo-diharap-menular-sampai-bawah-agar-tak-nyinyir-terus

いったい、この間、何が起こっていたのでしょうか。ジャカルタ暴動は明らかにジョコウィ側に対して向けられたものであり、真相解明と暴動の黒幕に対する厳しい態度はどこへ行ってしまったのでしょうか。なんと、プラボウォ側では新政権への参加の是非さえ検討され始めたとは、本当にどうしたのでしょうか。

何とも、うやむやな政治的幕引きで、プラボウォ側のあの激しい政権批判や示威行動は何の意味があったのでしょうか。常識的に考えると、腑に落ちないことだらけのような気がします。

そう言いつつも、筆者は、今後のインドネシアにとって、このうやむやな政治的幕引きは、「これでいいのだ」と思っています。素晴らしい、といってもよいかもしれません。日本では想像もつかない、実に巧みな解決プロセスのように感じています。もしかすると、大統領選挙で懸念された社会の分断を修復するプロセスへ入っていけるかもしれない、とまで思っています。

そして、今後のインドネシアにとってだけでなく、今後のアジアや世界にとってもホッと胸をなでおろせるような結果になったと思います。それはなぜなのでしょうか。

ジョコウィとプラボウォが和解へ至るプロセスとその背景、それがインドネシアにとっても世界にとっても良き結果となった理由を、以下で述べていきたいと思います。

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