2019年の大統領選挙は、暴徒と治安部隊の衝突という形で一区切りをつけようとしている。奇しくもインドネシア民主化の幕開けとなった、大暴動の末スハルト大統領が辞任した21年前と同日である5月21日に暴徒化は起きた。
以下、5月21日未明から衝突が収束した23日未明までの二日間の動きを地元メディアの報道を元にまとめた。
●最終結果発表
5月21日夜、大統領選挙の集計を進めていた総選挙委員会(KPU)は、最後のパプア州の集計を終え、日付の変わった21日未明の午前1時46分、最終結果を発表した。予定より1日早い発表となった。
総選挙委員会が選挙確定結果を発表 (出所)https://pop.grid.id/read/301733246/pertanyaan-besar-kenapa-pengumuman-pemenang-pilpres-dimajukan-kpu-jadi-21-mei-2019?page=all
- 有効投票総数 :154,257,601票
- ジョコウィ=アミン組 : 85,607,362票(得票率55.5%)
- プラボウォ=サンディ組: 68,650,239票(得票率44.5%)
ジョコウィ=アミン組が東ジャワ州や中部ジャワ州での圧勝など23州でプラボウォ=サンディ組を上回り、ジョコウィ大統領が再選を果たした。
●プラボウォ派のデモ開始
5月21日からジャカルタ中心部の目抜き通り、タムリン通りにある選挙監視庁(Badan Pengawas Pemilihan Umum: Bawaslu)前で、大統領選挙の不正を抗議するプラボウォ派のデモが始まった。本来、選挙結果が発表される期限日である22日を頂点にしようと組織された「5月22日アクション」と名付けられたデモ隊だ。デモは21日から25日までの予定。プラボウォを支持するイスラム急進派団体FPI(イスラム擁護戦線)の、ペチ(ムスリムの帽子)をかぶり、白いイスラム服を着たメンバーが目立つ。
選挙監視庁前に集まったFPIメンバーらのデモ隊。(出所)https://nasional.tempo.co/read/1207749/massa-aksi-22-mei-protes-tak-boleh-demo-di-depan-bawaslu
現場は選挙監視庁のほか、インドネシアの老舗、サリナデパート前の交差点で、数百人のプラボウォ支持者が交差点を埋め尽くした。周辺は道路封鎖された。交差点の南側に鉄条網でバリケードを張って選挙監視庁の建物前でデモ隊と対峙する国家警察の機動部隊。
発表によると中心部に配置された機動部隊は約3000人、ジャカルタ全体では国軍とあわせて3万2000人が治安維持のため配備されているという。中心部から約6キロ離れた筆者のアパートの入口にも、国軍隊員が数名配置されていた。
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