よりどりインドネシア

2019年05月24日号 vol.46

大統領選挙結果発表とジャカルタ暴動 ~筆者自身のツイート記事ログから~(松井和久)

2019年05月24日 09:31 by Matsui-Glocal

予定より1日早めた5月21日未明の大統領選挙確定結果発表、そして21日からジャカルタで局所的に騒動(暴動)、という状況が現時点では進行中です。

(出所)https://megapolitan.kompas.com/read/2019/05/22/16512211/5-aksi-humanis-di-tengah-kerusuhan-pasca-penetapan-hasil-pemilu-2019

刻々と動く動きを追いながら、筆者は自らのツイッター(@daengkm)で情報発信を行なってきています。表面的な動きの裏で、過去20年以上、アウトローに追いやられた勢力の怨念やそれに乗じて自らの影響力を誇示しようとする勢力の思惑が絡まっている様子がうかがえます。

別な言い方をすれば、インドネシアがずっと引きずってきた過去の暗い闇がようやく断ち切られるのか、それが新たな形となって永続していくのか、そんな歴史的な変わり目が現れた事象のようにも思えます。

残念ながら、筆者の能力不足により、現時点でそれを説得的に試論として提示することは難しいと判断し、次号以降での提示を試みたいと思います。ご容赦のほど、よろしくお願いいたします。

その代わりというわけではありませんが、ここ数日、発信してきた筆者のツイート・ログを再掲しておきます。ご参考になれば幸いです。

なお、ジャカルタ暴動で何が起こっていたかについては、今号の横山裕一さんによる「実録タムリン暴動の二日間 ~ジャカルタ~」をご一読ください。ジャカルタ在住の横山さんならではの報告となっています。

●5月20日

やはり今、この辺が動いているようだ。以下の号では書かなかったが、SNS動画で22日に向けて決起を呼び掛けた人物は元コパスス司令官。東ティモールやアチェで諜報活動を行ったスペシャリストだった。// コパスス薔薇チーム出身者は今(松井和久) | よりどりインドネシア第38号 https://yoridori-indonesia.publishers.fm/article/19701/ (posted at 15:06:18)

開票結果に不満でも憲法裁判所へ訴えて争わない。総選挙庁や総選挙監視庁、憲法裁判所を含む国家システム自体を信用しない、選挙は無効と大衆動員で圧力をかける。過去20年以上の怨念が一気に噴き出すのか。それに乗じる別勢力も。対する政府は今回、本気で国家転覆罪適用を検討するか。(posted at 15:37:06)

選挙不正の証拠が弱すぎると、国家システム全体を否定するという戦略を採るのか。それに絡められるものはイスラムでも反ジャワ感情でも何でも絡める。そこに勝利への緻密な計算はあるのか。引くに引けない状態に陥ったのか。1990年代よりインドネシア社会や国民がずっと成熟したことを忘れていないか。(posted at 15:44:47)

今回のインドネシア大統領選挙、候補ペア2組の間に政策論争はほとんどなかった。というか、打ち出された政策に大きな差異はなかったといってよい。一体、今の騒ぎは何なのだ。20年以上の怨念とこの機に乗じて影響力拡大を狙う便乗勢力の思惑で国を二分していいのか。本当は国家危機でも何でもない。(posted at 16:06:59)

●5月21日

この人物、スナルコ元コパスス司令官は5月21日、反逆罪容疑で拘束され、国家警察と国軍による取り調べで武器密輸が発覚し、逮捕された。彼は、アチェを管轄するイスカンダルムダ陸軍区の2008年の復活後最初の司令官で、2012年グリンドラ党入党、2017年からはナングロアチェ党幹部。// コパスス薔薇チーム出身者は今(松井和久) | よりどりインドネシア第38号 https://yoridori-indonesia.publishers.fm/article/19701/ (posted at 16:00:53)

ジョコウィ側とプラボウォ側、双方の諜報スペシャリストら同士の心理情報戦が繰り広げられてきている様子。SNSで拡散する必要はないが、今、ジャカルタや地方都市で流れているデマを記録に残すことは意味がある。(posted at 16:37:21)

プラボウォは今日、大統領選挙結果を認めず、だが法に則って不正を憲法裁判所へ訴えると発言。退路を用意し始めた様子。政府転覆を示唆する過激な発言をした者が次々に治安当局に拘束。ある程度の大衆動員はあろうが、政権側はそれを無事に選挙を終えた祝賀大衆集会へ性格替えさせるかもしれない。(posted at 16:44:36)

大統領府のムルドコ府長(元国軍司令官)によると、その密輸した武器で5月22日の集会を混乱させようとした疑いがある。すなわち、大衆へ向けて発砲し、非を国軍や警察に負わせるシナリオ。// https://www.liputan6.com/news/read/3971370/soal-penyelundupan-senjata-di-aksi-22-mei-ada-purnawirawan-tni-terlibat… (posted at 17:36:41)

プラボウォ支持の退役軍人106人、5月22日行動に参加する女性などを守るために参加すると表明。彼らの中心人物はユドヨノ政権時から政権批判を続けてきた者たち。「間違った者たちが政権で幅を利かせている」という発言に対して「傷心」とするコメント有。時流にうまく乗れなかった者たちの怨念。(posted at 19:34:11)

●5月23日

今回の騒ぎ。21年前、ジャカルタで動けば国全体を変えられる、と勝手な成功体験をもってしまった者たちが引き起こしたのだろうか。彼らにはラストチャンスという思いも強かったに違いない。でも動員された者の命を軽くみる態度は21年前から何も変わっていなかった。(posted at 06:59:47)

起こす必要の全くなかった今回のジャカルタ暴動。亡くなる必要の全くなかった動員された者たち。不要な恐怖感を呼び起こしたジャカルタの町。そして投資家に対するインドネシアの対外イメージの悪化。特定勢力の長年の怨念とそれに乗じて影響力を強めようとした勢力のエゴが残念な事態をもたらした。(posted at 07:06:49)

でもインドネシアは、もはやジャカルタが変われば国全体が変わる国ではない。21年前は、数年かけて全国各都市で暴動が起こり、恐怖が煽られ、その総決算のような形でジャカルタ暴動が起こり、長期政権が崩壊した。今回、地方で同時多発的に暴動が起こらなかったのは幸いだった。(posted at 07:14:00)

今回のジャカルタの騒ぎ、21年前のように市内広範囲に拡散することを懸命に防ごうとしている様子。デモ集団は中心部のサリナ、タナアバン、サバン周辺に抑えられ、それら以外の殆どは通常通りか。注意と警戒を怠らず、数日間自宅待機の体制をとりつつも、ジャカルタ全体が危ないという状況ではない。(posted at 07:35:01)

日本のメディアの方々は、ジャカルタ全体やインドネシア全体が暴動になっているかのようなイメージを与えない、冷静な報道をくれぐれもよろしくお願いしたい。(posted at 07:38:01)

先ほど地方で暴動が起こっていないとツイートしたが、昨日西カリマンタン州の州都ポンティアナクとマドゥラ島のサンパンで警察署が襲撃されたとの報道。一部が「各地で暴動発生」と煽るツイートを拡散。ポンティアナクで38人が逮捕、中心部は平穏とのこと。華人の多いポンティアナクの事態は気になる。(posted at 09:49:56)

華人の多いポンティアナクの事態が気になるのは、ジャカルタ暴動絡みで反中国へ煽るツイートが見られるため。ジャカルタの治安部隊の写真を掲げて「肌が白く細めでプリブミに見えない」「中国から派遣されたかも」という、日本でのヘイト顔負けのツイートが出ているため。SNS制限の要因と思われる。(posted at 09:54:38)

反中国・反華人感情を煽る情報を拡散すれば、騒乱の波が地方へ一気に広がる可能性がある。さらに反ジャワ感情も煽られる可能性がある。騒ぎをジャカルタに限定しようと懸命な現政権がそれを抑えきれるか。抑えきれなければ現政権への批判が噴出、国の安定が損なわれる。政権にはSNS制限が必要だった。(posted at 10:01:22)

煽るわけではないが、私を含むインドネシア・ウォッチャーは、インドネシア語での「中国」「華人」関連のSNS情報に十分注意を払う必要がある。(posted at 10:12:46)

インドネシア大統領選挙開票結果発表後の事態が動いていて、今日明日中に発行予定の情報ウェブマガジン「よりどりインドネシア」第46号向けの原稿を書くタイミングをとるにが難しい。どうするかな。大統領選挙がらみの原稿をペンディングにして後出しにし、取り敢えず発行してしまうか。悩む。(posted at 13:06:46)

ジャカルタ暴動で、政府側とデモ側の双方が自らに都合のよい解釈でアップする画像や映像。暴徒は本当にデモ側なのか、実弾を打ったとされる者は本当に軍・警察なのか、実はよく分からない。双方に諜報プロが入った情報戦が繰り広げられている。個人的な情緒に任せた一方的判断は危険である。(posted at 13:21:56)

石を積んだ救急車に関するツイート。もしこれが本当なら、あまりにもお粗末。党側がどんな弁明をするのか興味津々。// https://twitter.com/MurtadhaOne/status/1131224251082481664 (posted at 15:16:41)

(松井和久)

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