「テンペ、タフ、テンペ、タフ・・・」
村の主婦たちがよく口にするフレーズです。大豆の発酵食品テンペと、豆腐。毎日毎日食卓に並ぶのはそればかりだ、という意味のグチ交じりのジョークです。
毎日の献立に悩むのは世界中の主婦/主夫共通のことかもしれません。ここの主婦たちも例に漏れず、です。野菜売りの前に集まっては、「今日は何を作るの?」「うーん、どうしようかねぇ・・・」なんて言い合っています。
村での日々の食事はどんなもの?
めでたい日のご馳走については記録されるけど、日常の食事ほど歴史には残らないと言います。今回は、『なんでもない村のなんでもない普段の食卓事情』をご紹介したいと思います。
●朝起きたらまず買い物すべし!
朝6時、村の一角にあるワルニさん宅にどんどん人が集まります。ワルニさんは、毎朝3時に軽トラで最寄りの市場に行き、そこで仕入れた食材を自宅前で売っているのです。
スーパーマーケットまでは10キロちょっと。一番近い市場でも数キロあるので、ワルニさんがいなければ買い物もままなりません。他には、たまにバイクの野菜売りが通りかかることもありますが、不定期なのでアテにはできません。
ワルニさんのところでは、季節によってラインナップに違いがありますが、大体20種類くらいの野菜を扱っています。人参、ジャガイモ、ナス、トマト、インゲンといったもののほかに、白菜、キャベツ、ヒユ菜、その他諸々葉物野菜が豊富です。またテンペ、豆腐、ピンダンと呼ばれる塩漬け魚(豆アジ?)もだいたい置いていて、これが主菜枠になります。鶏肉はたまにありますが、鮮魚はありません。
朝8時には店仕舞いとなります。そうして各々、ここで得た食材を使ってその日1日分の食事を作るわけですが、メニューはどんなものになるのでしょうか?
●質素に、美味しく
「テンペか豆腐か、それが問題だ。」とはハムレットも別に言ってはいませんが、大体これらをルーチンして使います。
ジャワ料理でテンペや豆腐といえば、甘辛く煮て揚げる『バチャム』がよく知られていますが、やはりここでも定番レシピの一つ。ちょっと味を濃くしてご飯をたくさん食べられるようにするのが好まれます。
また、ウォノソボ独特なのが『テンペ・クムール』と呼ばれるテンペの天ぷらです。ターメリックやニンニク、コリアンダーシードで味付けした生地に刻んだニラを混ぜ、テンペを浸して揚げます。
衣が広がるように鍋肌に押し付けて揚げるのが特徴です。クムールとはジャワ語で毛布のこと。毛布にくるまれたテンペというわけです。
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