ここ数年のインドネシア経済は5%前後の成長に留まり、目標としていた6~7%成長を達成できていません。もっとも、世界経済の低迷を勘案するならば、インドネシアもそれなりに底堅い経済成長を続けていると言えます。
そんななかで、インドネシア国内で、信じられないような経済成長率を記録している地域があります。
たとえば、2016年の地方国内総生産(GRDP: Gross Regional Domestic Product)で最高だったのは、中スラウェシ州バンガイ県で37%でした。
おそらく過去最高と思われるのは、2015年のGRDP成長率が67.8%を記録した、同じく中スラウェシ州のモロワリ県です。
バンガイ県もモロワリ県も、中スラウェシ州の東部、マルク州側に面した地域にあり、同州の西部にある州都パルからの陸路での距離は、バンガイ県の県都ルウックまで607キロ、モロワリ県の県都ブンクまで518キロと、州内では州都から最も遠いところに位置する県です。
中スラウェシ州の経済開発戦略では従来、州都パルを中心とした西海岸沿いの開発を優先し、バンガイ県やモロワリ県のある東部は開発の機会から取り残されていました。
このため、東西格差という言葉もあり、長年、州東部は「東スラウェシ州」としての分立運動さえ起こっていました。
そんな州都から離れた遠隔地が、なぜ今、急に驚異的な成長率を記録しているのでしょうか。いったい、何が起こっているのでしょうか。
今回は、2015年の67.8%成長を記録したモロワリ県の成長の謎に迫ります。
(出所)https://kpkmorowali.files.wordpress.com/2013/08/7206-morowali.jpg
読者コメント