インドネシアを代表する繊維製品といえば、ジャワ島由来のろうけつ染め「バティック」でしょう。
2009年10月2日、国連教育文化科学機関(ユネスコ)はバティックを世界遺産に認定しました。これを機に、インドネシア政府は、10月2日を「国民バティックの日」と指定し、国民にバティックの着用を呼びかけました。
振り返ると、1980年代後半、後継者不足などで、バティック業者は存続が危うい状況にまで廃れていきました。
しかしその後、若手デザイナーなどがバティックに現代感覚を持ち込み、様々な新しいアイディアやデザインが試行されていきました。インドネシア人デザイナーによるバティックのデザイナー・ブランドがいくつも生まれ、バティックは、新時代に合った新たな展開を見せるようになっていきました。
ユネスコがバティックを世界遺産に認定し、国民バティックの日が制定されると、インドネシアでは、もともとの文化的由来の有無にかかわらず、ジャワ島以外の各地で、「ご当地バティック」を復活したり、創作したりする動きが広まりました。
●バティック・ブスレックとの出会い
今回ご紹介するスマトラ島南西部のブンクルでの動きも、そんな状況のなかでの動きと考えられます。
2010年7月、ブンクルに行った際に、ちょっと変わったバティック(ろうけつ染め)に出会いました。このバティックはバティック・ブスレック(Batik Besurek)と呼ばれ、その特徴は、生地のなかに、文様としての文字とラフレシアの花が入っていることです。
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