よりどりインドネシア

2018年06月09号 vol.23

なぜパプアでダビデの星がはためくのか(松井和久)

2018年06月09日 13:34 by Matsui-Glocal

5月半ば、一見、奇妙な映像がインターネット上で流れ、インドネシア国内で騒然となりました。

なぜなら、それは、イスラエル国旗を手にした多数の人々が街中をデモ行進する映像だからでした。しかも、それは、インドネシア国内のパプア州の州都ジャヤプラで撮影されたものでした。

(出所)http://www.moslemtoday.com/tentang-sion-kids-of-papua-pengibar-bendera-israel-di-jayapura-yang-menuai-kontroversi/

インドネシアはイスラエルと国交関係を持っていません。一国としては世界最多のムスリム人口を持つインドネシアは、これまで一貫してパレスチナを支持し、それに敵対するイスラエルを敵視してきました。このデモ行進があったときも、ちょうど、インドネシア政府は、イスラエルによるパレスチナへの攻撃で死者が出たことを厳しく非難していました。

そのインドネシアの一部であるパプアで、嬉々として「ダビデの星」を振りながらデモ行進する人々がいるとは、と少なからぬ人々が思ったはずです。

多くの人々は、この映像をフェイクだと疑いました。同じパプアでも、インドネシアのパプア州ではなく、隣国パプア・ニューギニアでの映像だと思ったかもしれません。

しかし、これは事実でした。

このデモ行進があったのは5月14日で、主催したシオン・キッズ(Sion Kids)という名の団体の創立記念日でした。

首都ジャカルタから見れば、敵視するイスラエルの国旗を掲げた大規模なデモ行進が起こることは、治安上、国家統一を脅かすものとして厳罰に処せられるべき対象となり得ます。このビデオを見たイスラム関係者は危機感を抱き、デモ行進を批判しました。

しかし、パプア州警察は、意外なことに、「例年行われている伝統行事で、政治とは関係がなく、過剰反応する必要はない」と静観しました。ただ、警察への届出なしのデモ行進であったことは認めました。

どうして、パプアでイスラエル国旗を振りかざすデモ行進が起こるのでしょうか。このデモ行進を主催したシオン・キッズとはいかなる団体なのでしょうか。この出来事は、今後のインドネシア政治にどのような影響を与えてくるのでしょうか。

以下では、これらについて、パプア福音教会連合(Sinode Gereja Kemah Injili)のトップであるベニー牧師(Pendeta Benny Giay)の話を参考に考えてみます。

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

スラウェシ中部地震・津波の被災地はどんな地域なのか 〜中スラウェシ州パル市、ドンガラ県、シギ県〜(松井和久)

2018年10月09日号 vol.31

ロンボク地震について取り敢えずのメモ(松井和久)<全文無料閲覧可>

2018年08月09日号 vol.27

2015年に67.8%成長したモロワリ県で何があったのか(松井和久)

2018年08月09日号 vol.27

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2018年09月07号 vol.29

よりどりインドネシア第29号を発行しました。カバー写真は、アンボン島の海岸...