5月半ば、一見、奇妙な映像がインターネット上で流れ、インドネシア国内で騒然となりました。
なぜなら、それは、イスラエル国旗を手にした多数の人々が街中をデモ行進する映像だからでした。しかも、それは、インドネシア国内のパプア州の州都ジャヤプラで撮影されたものでした。
(出所)http://www.moslemtoday.com/tentang-sion-kids-of-papua-pengibar-bendera-israel-di-jayapura-yang-menuai-kontroversi/
インドネシアはイスラエルと国交関係を持っていません。一国としては世界最多のムスリム人口を持つインドネシアは、これまで一貫してパレスチナを支持し、それに敵対するイスラエルを敵視してきました。このデモ行進があったときも、ちょうど、インドネシア政府は、イスラエルによるパレスチナへの攻撃で死者が出たことを厳しく非難していました。
そのインドネシアの一部であるパプアで、嬉々として「ダビデの星」を振りながらデモ行進する人々がいるとは、と少なからぬ人々が思ったはずです。
多くの人々は、この映像をフェイクだと疑いました。同じパプアでも、インドネシアのパプア州ではなく、隣国パプア・ニューギニアでの映像だと思ったかもしれません。
しかし、これは事実でした。
このデモ行進があったのは5月14日で、主催したシオン・キッズ(Sion Kids)という名の団体の創立記念日でした。
首都ジャカルタから見れば、敵視するイスラエルの国旗を掲げた大規模なデモ行進が起こることは、治安上、国家統一を脅かすものとして厳罰に処せられるべき対象となり得ます。このビデオを見たイスラム関係者は危機感を抱き、デモ行進を批判しました。
しかし、パプア州警察は、意外なことに、「例年行われている伝統行事で、政治とは関係がなく、過剰反応する必要はない」と静観しました。ただ、警察への届出なしのデモ行進であったことは認めました。
どうして、パプアでイスラエル国旗を振りかざすデモ行進が起こるのでしょうか。このデモ行進を主催したシオン・キッズとはいかなる団体なのでしょうか。この出来事は、今後のインドネシア政治にどのような影響を与えてくるのでしょうか。
以下では、これらについて、パプア福音教会連合(Sinode Gereja Kemah Injili)のトップであるベニー牧師(Pendeta Benny Giay)の話を参考に考えてみます。
読者コメント
匿名
一般公開 一般的にパプアについての情報は限られているので、今後もより...