よりどりインドネシア

2018年04月23日号 vol.20

外国人就業規制緩和の光と影(松井和久)

2018年04月23日 11:05 by Matsui-Glocal
2018年04月23日 11:05 by Matsui-Glocal

ジョコウィ大統領は2018年3月26日付大統領令2018年第20号に署名し、外国人就業に関する規制緩和を実施しました。また、これに関連して、インドネシア国内の大学において、外国人教員の長期正式雇用を進める方針を打ち出しました。

これまで、インドネシア政府は、外国投資誘致のための規制緩和を進めてきたものの、外国人の就業については、ビザの発給などでむしろ人数を制限し、抜き打ちで外資系企業での外国人就業状況の立ち入り調査を行うなど、否定的な姿勢を採ってきました。

「カネは欲しいがヒトは要らない」とでもいうようなインドネシアの姿勢に、我々は、外国投資誘致の本気度を測りかねている状況が続いていました。

また、実際に、「外国人が資源豊富なインドネシアへ来るのは、インドネシアを支配したいという思惑があるからで、警戒しなければならない」という類の話を、筆者はもう何十年も聞かされてきました。

こうした観点からすると、今回のジョコウィ政権の外国人就業ウェルカム政策は、外国人を規制するのではなく活用する方向へ、本気で変わり始める兆候のように見えます。

しかし今回の外国人就業規制緩和は、必ずしも日本や日本人のためにプラスになるように採られた政策というわけではありません。では、今回の規制緩和のインドネシアにとっての目的は、一体何なのでしょうか。

他方、外国人就業規制緩和は、来年の大統領選挙を控えた政治の季節において、ジョコウィ政権を批判勢力にとっての格好のトピックとなります。すなわち、ジョコウィ政権は、外国人を優遇する売国政権だ、という批判を促す可能性が大きいからです。

以下では、今回の外国人就業規制緩和の内容とその反響を見ながら、今後の展開を展望してみたいと思います。

「インドネシア語のできない外国人労働者を拒否する」とのプラカードを掲げる女性。(出所)http://www.pollindo.com/mengatasi-serbuan-tenaga-kerja-asing-ke-indonesia/

 

(以下の内容へ続く)

  • 外国人就業規制緩和の主な内容
  • 外国人大学教員の採用
  • 外国人就業者における中国人の台頭
  • 外国人就業規制緩和への批判が中国批判や政権批判へ転化?
  • ジョコウィ政権は楽観的
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