よりどりインドネシア

2018年02月07日号 vol.15【無料全文公開】

マジェネで食べたマンダール料理(松井和久)

2020年04月18日 13:47 by Matsui-Glocal

2009年11月初めに西スラウェシ州マジェネに出張した際、州政府に勤める友人の旦那の実家で、マンダール料理の昼食をご馳走になりました。出された料理は、こんな風に並べられました。

マンダール地方は、もともと主食は米ではなく、キャッサバやバナナやサゴ椰子でした。

上の写真は、キャッサバを平たく伸ばして焼いたものです。ここでは、ジェッパ(Jeppa)と呼ばれています。

これと同じような形で、サゴ椰子によるものを、以前、2000年に北スラウェシ州のサンギヘ島で食べたことがあります。それはこんなものでした。

大ぶりのイドゥーリ(南インドの米粉をのばしたもの)にも何となく似ていました。食感も同じような感じでした。

これは、ロカ・アンジョロエ(Loka Anjoroe)というものです。Lokaはバナナ、Anjoroeはココナッツのことで、バナナをココナツと一緒にして揚げたもので、お菓子ではなく、おかずです。

このバナナは全然甘くなくて、芋のような食感でした。そういえば、昔々、マルク州のセラム島で食べたバナナも甘さはなく、まさに芋そのもので、一番奥に黒い大きな種が入っていたのを思い出します。

マジェネは港町。なので、新鮮な魚がやはり食卓をにぎわせてくれます。

この日の前夜、港近くの倉庫で、地元のマグロ業者が確保しておいたキハダ・マグロをその場で刺身にしてひたすら食べる夕食を味わいました。新鮮なので、キハダでも十分においしく、スラウェシに住んでいた当時は、本当に久々にマグロを食べたという満足感がありました。

これは、ラワール(Rawar)というサンバルのようなものです。南スラウェシ州ワジョ地方には、魚とココナッツを和えたラワというのがありますが、それと似たようなものでした。

それにしても、こうした料理は、普通のレストランでは味わえず、誰かの家の家庭料理でないと味わえないものなのです。レストランでは、毎度おなじみ、焼き魚か鳥の唐揚げ。でも、地元の食の世界には、普通の観光客にはなかなか見えない、深遠なおいしい「宇宙」が広がっているのです。

これらのマンダール料理をご馳走してくれた友人は、まだ40代の若さで、夫と子どもを遺し、数年前に病気で亡くなりました。これらの写真を見ると、料理の説明を嬉々としてする彼女の笑顔が頭に浮かんできます。あそこでもう一度食べることはもう叶わないのだろうと思いながら、改めて静かに合掌。

(松井和久)

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