よりどりインドネシア

2018年01月07日号 vol.13

アブラハムさんとカルンパン織~西スラウェシ州マムジュ(松井和久)

2018年01月07日 18:26 by Matsui-Glocal

以下は、2009年6月9日付の筆者のブログ「マカッサルと東京の間で(パート2)」の内容に加筆したものです。古い内容ですが、ご笑覧ください。

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2009年6月7日に西スラウェシ州マムジュへ着いた後、かつて友人から会うように勧められていたアブラハムさんに会いに行きました。その友人によると、アブラハムさんは、カルンパン織に関する研究を自前でしている方で、間もなくその成果を冊子にして出版するという話でした(冊子はすでに出版され、筆者も入手済みです)。

アブラハムさんと奥さん

●カルンパン織とは

カルンパン織というのは、西スラウェシ州マムジュ県に属するカルンパン地方(Kalumpang)で織られてきた織布のことで、インドネシア語ではイカット(ikat)と一般に呼ばれている類のものです。種族的には、カルンパンは大きな意味でのトラジャの一部とみなされています。

インドネシア東部地域では、各地でイカットが織られ、日本ではとくに、バリ島のさらに東に広がる西・東ヌサトゥンガラ州各地(ロンボク、スンバワ、スンバ、フローレス、アロール、ティモールなど)のイカットが有名ですが、スラウェシ島でも、同様のイカットがこのカルンパンなど各地でみられます。

ただ、スラウェシ島では、織手がいない後継者不足のため、消えてしまったイカットがありました。しかし、近年、地方政府が地域文化の掘り起こしや振興に力を入れ始め、消えかけていたイカットの一部が復興されています。

筆者は、カルンパン織について、アブラハムさんにいろいろ聞いてみるのですが、「これらの話はぜーんぶ、わしのこの冊子に書いてある」というばかりで、なかなか詳しく教えてくれません。

アブラハムさんがその冊子を書き始めたのは1986年。彼によると、その後、マムジュ県政府に資金的な支援をお願いしたが、何も対応してもらえず、ようやく2009年になって、県政府から補助が出たので、5冊だけ印刷し、州知事夫人、県知事夫人、その他県政府関係者に配る、ということでした。

どうしてもそれを読んでみたい筆者は、「資金提供するから、5冊分けてくれないか」とお願いしました。聞くと、中スラウェシ州パルに住んでいる甥が印刷をしているとのことで、数日後、たまたま筆者がパルへ出張した際に、甥に会ってお願いしてきました。

そんなアブラハムさんとのやり取りを見ていた彼の奥さんが、ニコニコしながら、いろんなものを取り出してきました。

(以下の内容へ続く)

  • カルンパン織の染色素材
  • カルンパン織に込められた時間の重み

 

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