よりどりインドネシア

2017年11月07日号 vol.9【無料全文公開】

ロンボクだより(3): 「なんでもアレルギー」の医者が教えてくれたこと(岡本みどり)

2020年04月18日 13:13 by Matsui-Glocal

結婚して出産を機に、義母と同居するようになりました。

義母は年齢のわりに元気なほうだと思いますが、それでもときどき体調を崩します。かかりつけの開業医のところへいき、帰宅すると、医者のいったことを細かに教えてくれます。が、この医者の話は常に同じで「アレルギーですね。鶏肉と卵と魚を食べてはいけませんよ」なのでした。

私は日本では管理栄養士として働いていました。その経験をもとに考えると、なんでもかんでもアレルギーと判断されることも、「鶏肉と卵と魚を食べてはいけない」という助言にも首をかしげたくなりました。仮にアレルギーならアレルゲン(アレルギーの原因になっているもの)を確定すればいいのです。

なぜ、いつもいつも「アレルギーだから、鶏肉と卵と魚を食べてはいけません」なのでしょうか。ロンボク島の田舎のお医者さまは信用ならないです。それに、義母はごはんと野菜と豆腐かテンペくらいしか食べられるものがなくなってしまいます。食の楽しみが減るのは不憫でした。

ところがあるとき、ハッとすることが起こりました。

コッココッコと駆け回る近所の鶏。でも地鶏が安全とも限りません。

●アヤムスーパーという鶏のヒヨコ

近所の飼料屋の軒先で、丸々太った大きなヒヨコが売られていたのです。ヒヨコというには大きすぎますが、まだ羽は黄色く、ヒヨコのそれでした。

店主に「これはヒヨコか」と尋ねたら、ニコニコとこう答えてくれました。

「これはアヤムスーパーという鶏のヒヨコだよ。ふつうの鶏よりも早く成長するんだ。あっという間に大きくなって、4ヵ月で成鳥になる。しかも、たっぷり肉がついてるんだ」。

完全に食用に改良された鶏のようでした。よく売れているとの声に、気持ち悪い・・・と反射的に思ったとき、医者のいつもの言葉に合点がいきました。

私たちの住む村には、まだまだ鶏がコッココッコと駆け回っています。が、市場で売られている鶏のほとんどはブロイラーです。きっとあのアヤムスーパーも含まれているでしょう。

それらの鶏はどんなふうに改良され、どんな飼料を食べて育っているのでしょうか。私たちにはわかりません。

何十年も自然の食べ物だけを食べてきた義母なら、体の抵抗が弱まっているときなどは、その鶏肉や卵でアレルギー様の症状が引き起こされてもおかしくないのかもしれないなぁ。

だとしたら、なんでもアレルギーと診断するとは頼りにならないと思っていた医者ですが、何も知らないのは私なのかもしれません。

●上から目線だった自分

私は、これだから村の医者は・・・と上から目線だった自分を恥じました。村の人々の言葉に「そんなわけがない」「ほんとに何も知らないんだから・・・」と呆れたときは、自分の傲慢さに気づくとき――。

いま一度「彼らのいうことは本当かもしれない」と立ち止まる癖をつけたいと思いました。

(岡本みどり)

関連記事

BOP層コミュニティを歩く(2013~2014年)(1):相互扶助によるコミュニティ活動(松井和久)

2022年06月22日号 vol.120

ロンボクだより(70):インドネシア語をつかむ(岡本みどり)

2022年06月22日号 vol.120

ウォノソボライフ(53):ロケットチキン快進撃(神道有子)

2022年06月22日号 vol.120

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)