よりどりインドネシア

2017年09月07日号 vol.5

密かに広く地方で進行する違法な金採掘

2017年09月08日 00:17 by Matsui-Glocal

約15年ほど前、西カリマンタン州のマンダールというところへ行きました。このマンダールは、第2次世界大戦中、日本軍による住民虐殺事件が起こった場所として、現地では記憶されています。日本軍の軍人たちがマンダールの人々を虐殺する様子を描いたレリーフが立っていました。

そのレリーフの立っている場所から10分ほど歩いていくと、そこには真っ白な世界が広がっていました。

何も植物が生えていない、ただただ真っ白な土の場所でした。よく見ると、この白い大地の中で、一人の男性が屈み込みながら、何かをしています。

これは、金採掘の夢の跡です。金採掘に使われる水銀による土壌汚染の成れの果てなのです。

住民による金採掘は、インドネシアの地方で密かに広く進み続けています。2017年8月30日の環境省による国会報告によると、全国34州中32州にある850地点で、197箇所の小規模金鉱が、アマルガム法による金精錬のために水銀を使用している、とされています。金採掘に関わる約100万人のうち、少なくとも25万人以上の健康が脅かされているとみられています。

こうした金採掘は、幹線道路沿いのような誰もが見られる場所ではなく、他人の目につきにくい山奥などで進行しています。もしかすると、マルコポーロのいう「黄金の島ジパング」とは日本ではなく、今、インドネシアと呼ばれる島々だったのではないか、と思える気さえしてきます。上の写真のような白い世界があちこちで進行していると考えただけで、インドネシアの環境破壊の深刻さにゾッとしてしまいそうです。

今回は、この違法な金採掘の問題について、少し考えてみたいと思います。

(以下の内容へ続く)

  • 農園作物の価格変動と金採掘
  • 出稼ぎ労働者と地元住民との抗争もある
  • 金採掘の利権化と地方政治との関わり
  • 行為者が住民であることの難しさ

 

 

 

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

ジャカルタ湾の埋め立てプロジェクト問題(大島空良)

2017年09月07日号 vol.5

北スラウェシでの中国系セメント工場襲撃事件

2017年07月22日号 vol.2

外国人観光客が急激に押し寄せる北スラウェシ州

2017年07月07日号 vol.1

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)

2017年10月07日号 vol.7

よりどりインドネシア第7号を発行しました。カバー写真は、マカッサルの華人墓...

2017年09月22日号 vol.6

よりどりインドネシア第6号を発行いたしました。カバー写真はスラバヤでいつも...

2017年08月22日号 vol.4

よりどりインドネシア第4号を発行しました。今回は、カソワミ、カーニバル、海...